随時更新中!レフト鈴木の日本語お笑い道場

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暖かくなったり寒くなったりで、体調管理が難しい今日この頃ですが、皆様風邪などひいていないでしょうか?僕はふだん、外から帰って来たら手洗いうがいを徹底し、予防に努めています。いや、努めていた...はずだったんですが、先日しっかりと流行に乗ってA型インフルエンザにかかってしまいました。一週間もの間、アルバイトもお笑いの仕事も休まなければいけなかったので、色んな方に迷惑をかけてしまいました。子供の頃は風邪をひくと、「学校休めてラッキー!」とか、のんきなことを考えたりしていましたが、大人になるとそうもいきませんね。

そういえば、昔は学校を休むと近くに住んでいるクラスメートがプリントを家まで届けてくれたりノートを貸してくれたりしましたが、今でもそういう文化はあるのでしょうか?小学生でもスマホを当たり前に持っているこの時代、「プリント写メっといたよ~」とか、「今日の授業ムービーで撮っておいたからLINEで送るね~」とか言っているかもしれません。それから、昔は給食で余った食べ物や飲み物も、持ち帰れるものは届けてくれたりしていましたが、今は衛生面の問題で難しいそうです。しかし、子供達にはそんなことは分からなくて、「アケミちゃんにプリン持って行ってあげようかと思ったんだけど、先生に『えーせーじょー良くないから持って帰っちゃいけません』って言われちゃった。マジケチだよね~」とか言ったりするかもしれませんね。賢明な判断をしたにも関わらず、ケチ呼ばわりされては先生もたまらないでしょうが。

それでは!今回も前回に続いて、対義語の関係にある二つの言葉の面白い使用例をご紹介したいと思います。ちなみに僕も無駄遣いをするのが嫌な性分なので、よく周りから「ケチ」だと言われてしまいますが、相方の上田は金持ちということもあって、「気前が良い」「太っ腹」と全く反対のことを言われています。う~ん...とりあえず今日もご馳走になっておきますか!

前置きが長くなりましたが、いってみましょう!題して「対義語を使ってみよう!」

「稚拙(ちせつ)」⇔「老巧(ろうこう)」

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~年配の部長と若手社員の会話~
部長「高橋君。何だね、この企画書は?誤字脱字が多過ぎるぞ」
高橋「すみません」
部長「内容も支離滅裂だし、本当に稚拙だよ。こんな企画書にハンコは押せないな」
高橋「そうですか...」
部長「全く、近頃の若いやつらときたら...あれ?何だこりゃ?パソコンがフリーズしてる!」
高橋「ちょっと見せてください。あ~、この症状は再セットアップが必要ですね。バックアップはとってますか?ハードディスクの容量には注意しないとダメですよ」
部長「え?あ、ああ...君やけに詳しいな」
高橋「ああ、僕は小さい頃からシステムエンジニアになるのが夢で、5歳からパソコンの勉強始めたんです。実はこの会社のネットワークシステムも、今ほとんど僕が管理してるんですよ。あ、そういえば今度僕、腕を買われてIT関連の大企業に転職することが決まったので、今日限りで辞めさせていただきます。いや~、お陰様でいい経験ができました。営業もなかなか面白かったですよ。ちなみに新しい会社では年収が今の5倍くらいになります。それじゃあ!」
部長「若いのに老巧なやつだ...」

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「稚拙」は「幼稚で未熟な様子」、「老巧」は「経験を積んでいて、物事を巧みに行う様子」です。

「能ある鷹は爪を隠す」ということわざもあるように、人は見かけによらないものです。高橋君のように隠れた特技を持っていたりすることもあるので、後輩や部下だからといって侮るのは禁物ですね。ただ、転職先での年収を自慢してから会社を辞める辺り、社会人としては全く「老巧」ではないですね。そこは部長さんもしっかり指導してから送り出してあげてほしいものです。

「緊張(きんちょう)」⇔「弛緩(しかん)」

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~就職面接の控え室での大学の同級生の会話~
田中「緊張するなぁ。俺、大事な場面ではいつも緊張し過ぎて失敗するんだよ」
佐藤「そりゃ良くないな。面接官のことを全員カボチャだと思えば気が楽になるんじゃないか?」
田中「かぼちゃ?確かにそれなら大丈夫だな。なんか気が楽になってきたぞ。ありがとう」
佐藤「それは良かった」
面接官「田中さん。どうぞお入りください」
田中「はい!どうもー!田中でーす!カボチャの皆さん、よろしくお願いしまーす!今日は皆さんを煮付けにして食べちゃおうかな?なんちゃってー!」
面接官「君!ふざけてるのかね!?帰りたまえ!」
佐藤「弛緩させ過ぎたか...」

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「緊張」は「心が張り詰めたり体が引き締ったりした状態にあること」、「弛緩」は「ゆるむこと、たるむこと」という意味です。

それにしても面接官や観客などの相手を「カボチャだと思え」というアドバイス、あれ本当に効果あるんでしょうか?僕も小学生の頃、合唱コンクールの時に担任の先生に言われましたが、全くピンときませんでした。観客がカボチャだろうがなんだろうが緊張する時はしますし、もし本当に観客が全員カボチャだったら、それはそれでやりづらいと思うのですが。それこそ僕達のライブのお客さんが全員カボチャだったら困ってしまいます。カボチャにウケるネタが何なのか分かりませんし、カボチャがきちんとチケット代を払ってくれるかどうかも分かりません。まあ、でも美味しいですよね、カボチャ。

「曖昧(あいまい)」⇔「明瞭(めいりょう)」

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刑事「あなたが目撃者の小野寺真紀子さんですね?早速ですが、よく思い出してください。犯人はどんな服を着ていましたか?」
真紀子「えっと、黒いジャケットを着ていたような...茶色だったような...」
刑事「身長は何センチくらいでしたか?」
真紀子「小柄だったような...大柄だったような...」
刑事「かなり記憶が曖昧ですね。事件から一週間も経っていますし、無理もないですが」
真紀子「すみません。すぐにお話しに来れば良かったのですが」
刑事「いえ、それはお気になさらず。ところで、事件を目撃する直前はどこで何をされていたのですか?」
真紀子「友達と近所の居酒屋に食事に行っていました。そこで枝豆とマグロのお刺身と、モツ煮込みとあんかけチャーハンと、デザートにバニラアイスを食べました。居酒屋を出た後、近くの別の店に締めの塩ラーメンを食べに行って、そのラーメン屋を出た後、事件を目撃したんです。あ~、どれも美味しかった~」
刑事「...食べ物に関する記憶は随分と明瞭だな」

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「曖昧」は「不明な点が多くはっきりしない様子」、「明瞭」は「明らかで、はっきりしている様子」です。

よく脳のストレッチで「2日前のお昼ご飯を思い出す」という類のものがありますが、意外とすぐには思い出せないものです。なのに、一週間前に居酒屋で頼んだメニューを完璧に記憶しているなんて、真紀子さんはよほど食べることが大好きなんでしょうね。しかも、こういう人に限って「痩せた~い」とか口癖のように言っていたりするから、女性とは分からないものです。そして、「明日から絶対ダイエットする!」という言葉を2日後くらいには忘れていたりします。記憶なんて自分の都合のいいように書き変えられてしまうものなんでしょうね。

皆様ご存じのように、日本語検定の「語彙」の領域では、類義語・対義語を答えさせる問題が出てきますので、対義語をセットで覚えて、効率良く学習していきたいですね。

さて、まだまだ季節の変わり目です。皆様体調管理には気をつけて、風邪などひかず、6月の検定に向けて勉強を頑張りましょう!「お前が言うな!」というツッコミは受け付けていませんので悪しからず...

レフト鈴木

1987年埼玉県生まれ。千葉大学卒業。お笑いトリオ「くりおね」ツッコミ担当(ワタナベエンターテインメント所属)。フジテレビ「日本語探Qバラエティクイズ それマジ!?ニッポン」、テレビ朝日「GURIGURIくりぃむ」、チバテレビ「Girl’s Pop’n Party」「おはYo! HIテンション」等に出演。2013年日本語検定1級に認定。
アメブロ:http://ameblo.jp/hidekasuzuki/
ツイッター:@leftsuzuki

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