随時更新中!レフト鈴木の日本語お笑い道場

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 少し遅くなりましたが、皆さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。早いもので、もうこの「日本語道場」の連載も5年目に突入しました。しかも、なんと!今回が38回目ということで、故川本信幹先生の「その日本語、相手を不快にします」を抜いて、日本語検定ホームページ上の最長連載記録を達成しました!これもひとえに読者の皆さんのおかげです!本当にありがとうございます!
 そして実は昨年から、時事通信出版局さんが発行している『教員養成セミナー』という雑誌で「日本語大好き芸人レフト鈴木のコントで鍛える語彙トレ」というコラムもスタートさせていただきました。そちらと並行して執筆活動を行っている影響で、ここ最近「日本語道場」の方の更新ペースが落ちてしまっていて申し訳ない限りですが、最長連載記録を更新できるようにこれからも頑張っていきたいと思いますので、引き続き応援お願いします!
 そしてそして、こちらもご報告が遅くなってしまいましたが、平成30年度第2回の検定結果が発表されましたね。もちろん僕もチェック済みです。今回のレフト鈴木の検定結果は…準認定でした!悔しー!最後に1級合格を逃したのが平成28年度の第2回検定だったので、実に2年ぶりです。しかも、前回のこのコラムを読んでいただければ分かるのですが、今回の検定は結構自信があったんです。しかし、個人カルテを見てみると、やはり気をつけていれば避けられたようなケアレスミスが多く、それが合否に影響したようでした。ちなみに総合の得点率は78.5%で、各領域の得点率を見ても、そこまで大きく認定基準を下回っているところはなかったのですが、逆に高得点が出せている領域も今ひとつ少なかったので、次回に向けて「総合的に力を伸ばすこと」と「落ち着いてケアレスミスをなくすこと」を心がけて、また勉強し直したいと思います。
 さて、今回は2019年1回目の連載ということと、僕の次回の検定に向けての再出発の意味を込めまして、「始まり」に関する言葉を紹介していきたいと思います。


・「火蓋を切る(ひぶたをきる)」

戦闘や競技などを開始する

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    アナウンサー「さあ、今日はついに全国高校サッカー大会の決勝戦です。両チームの選手達を乗せたバスがスタジアムに到着しました。試合を直前に控えた選手達の表情をお届けしたいと思います」
    佐藤選手「よう、田中。元気そうだな。今日はうちが勝たせてもらうぞ。お前のシュートは俺が全て止めてやる!」
    田中選手「誰かと思えば佐藤じゃねえか。今日はハットトリックくらいじゃ済まさないつもりだから覚悟しておけよ!」
    アナウンサー「おぉーっと!今両チームのキャプテンが早くもバチバチです!A高の鉄壁ゴールキーパー佐藤選手、そしてB高の弾丸ストライカー田中選手、この二人は中学時代から有名なライバル同士でした。今日はどちらに勝利の女神が微笑むのか!?」
    佐藤選手「おい、田中。ここでいっちょやるか?」
    田中選手「いいだろう。かかってこいよ!」
    アナウンサー「おや?試合前に何やら二人が対決するようです。もしかしてPK対決でしょうか?」
    佐藤選手「おし、いくぞ!レディー…ゴー!」
    田中選手「うおー!負けてたまるかー!俺は中学時代から試合前のこの勝負に賭けているんだ!」
    アナウンサー「あぁーっと!指相撲だー!指相撲で対決し始めたー!これは見ものです!」
    視聴者「いや、止めろよ!なんで大一番の前にしょうもない対決の『火蓋を切って』いるんだよ!?」

 「火蓋」とは火縄銃の火皿を覆う蓋のことで、ここでの「切る」は「開く」の意味です。火縄銃を撃つ時にはこの火蓋を開いて、中の火薬に火縄の火を点火していました。「火蓋を切る」ことで合戦が始まることから、広く「戦いを始める」という意味の慣用句として用いられるようになったそうです。
 ちなみに、よく「幕を切って落とす」という慣用句と混同した、「火蓋を切って落とす」や「火蓋を落とす」という誤用を見かけることがありますが、あくまで「火蓋を切る」が正しい言い方ですよ。
 それにしても、ライバル同士にも関わらず仲の良い二人ですね。よく漫画なんかで、河原で殴り合いの喧嘩をした二人の不良が、戦い疲れて土手に寝転がって笑い合うシーンが描かれたりしますが、それに近い関係性なんでしょうか。それにしても、何故試合前に「指相撲」なんですかね?二人とも全国でも「指折り」の選手だから?しかし、「土俵」が全く違う勝負を展開されても、視聴者はどんな顔をして見たらいいのか分かりませんよね。


・「産声を上げる(うぶごえをあげる)」

新しい組織・団体などが結成される

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    息子「ねえ、お父さん。お小遣いちょうだい」
    父「そういうのはお母さんに言いなさい。お父さんだって小遣い制なんだから」
    息子「え?お父さんもお小遣いもらってるの?じゃあさ、二人で『お小遣いの金額を上げろの会』を作ろうよ」
    父「そりゃいいな。じゃあ『日曜日はお昼まで寝かせてくれの会』も結成するか」
    息子「いいね!いいね!後は『月に一度は夕飯をすき焼きにして欲しいの会』も作ろう!」
    父「最高じゃないか!それから…」
    母「全部聞こえてるわよ!いくつ作る気よ!?ふざけた会ばっかり『産声を上げて』!全部却下!」

 「産声」とは赤ん坊が生まれて初めて出す声のことで、そこから広く「何かが生まれる」という意味で使われるようになった言葉です。
 それにしても、こちらも仲の良い親子ですね。この二人もお母さんに反発するような会ではなくて、「お母さんに対する感謝の気持ちを忘れない会」のような素敵な会を作れば、きっとお小遣いも上げてもらえるし、日曜日に昼まで寝ていても怒られないし、月に一度はすき焼きにありつけるに違いありません…なんて言ったら、世のお母さん達の「そんなに甘くないわよ!」という声が聞こえてきそうですが…。


・「火の手が上がる(ひのてがあがる)」

激しい攻撃や非難などが開始される

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    政治家「もしもし、山田か?今日発売の週刊誌に私がC社から賄賂を受け取っているという記事が出ていたぞ!どこから情報が漏れたんだ?自宅前にマスコミが大勢押し寄せていて、一歩も外に出られないじゃないか!」
    秘書「申し訳ありません。私の力不足で。しっかり口止めはしておいたはずだったんですが…」
    政治家「言い訳は聞きたくない!とにかく何としてでも誤魔化せ!」
    秘書「はい!すぐにマスコミを選挙事務所に集めます!」

〜1時間後〜

    政治家「もしもし、私だ。もう大丈夫なんだろうな?」
    秘書「はい!バッチリです!ちゃんとマスコミには『先生はそんな汚いお金なんかに興味ありません!先生が興味あるのは女性だけです!ふだん不倫ばかりしているので、賄賂を受け取っている暇はありません!』って言っておいたんで、もう大丈夫です」
    政治家「どこが大丈夫なんだ!関係ないことバラすなよ!そんなことしたら、そっちの方でも追及の『火の手が上がる』だろ!」

 「火の手」とは火事などの火の勢いのことで、そこから「一気に湧き上がった物事の激しい勢い」のたとえとしても使われるようになったそうです。
 それにしても、とんちんかんにも程がある秘書ですね。彼なりに火を消し止めようとしたのでしょうが、彼が燃え盛る炎にかけていたのは「水」ではなく「油」だったようです。当然この政治家のSNSはメラメラと炎上することになりますが、一般市民からしてみたら、それも完全に「対岸の火事」といったところでしょうか。


 新年一発目は新企画をお送りしてみましたが、いかがだったでしょうか。今年は、2本のコラムを書く作家として、お笑い芸人として、そして最近はeスポーツプレーヤーとしても活動中なので、「二足の草鞋」ならぬ「三足の草鞋」を履いて頑張っていきますよ!皆さん、改めまして本年もこの「日本語道場」ならびに「くりおね レフト鈴木」をよろしくお願いいたします!

レフト鈴木

1987年埼玉県生まれ。千葉大学卒業。お笑いトリオ「くりおね」ツッコミ担当(ワタナベエンターテインメント所属)。フジテレビ「日本語探Qバラエティクイズ それマジ!?ニッポン」、テレビ朝日「GURIGURIくりぃむ」「『ぷっ』すま」、TBS「有吉ジャポン」、チバテレ「Girl’s Pop’n Party」「おはYo! HIテンション」等に出演。日本語検定1級に過去4回認定。
アメーバブログ:http://ameblo.jp/hidekasuzuki/
ツイッター:@leftsuzuki
ユーチューブ:https://www.youtube.com/channel/UCLBQrhXN7UsOA2V50oTCqMg
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