日本語大賞 10周年記念特設サイト

受賞者が振り返る日本語大賞

過去10回の日本語大賞受賞者の中でただ一人、2年連続して文部科学大臣賞に輝いた小学生がいました。彼の名は、森田悠生さん。第5回受賞作「ぼくがいるよ。」では、病気の後遺症で味覚を失い、料理をすることに消極的になっていた母への思いを綴り、審査委員の心を揺さぶりました。母に代わって料理の味付けをする森田さんの姿は反響を呼び、その後、「小学校道徳」の教科書でも教材として取り上げられています。
あれから5年、高校1年生になった森田さんに、日本語検定公式キャラクターの“にほごん”がインタビューしました。
当時を振り返ってもらい、作品に込めた思いや日本語大賞の魅力について語ってもらいました。

◆第5回受賞作「ぼくがいるよ。」について

「ぼくがいるよ。」を通じて、一番伝えたかったことは何ですか?

“お母さん”への日頃の感謝の気持ちです。面と向かって思いを直接口で言うのは、恥ずかしかったので、文章にすれば、その思いを伝えられるかなと思いました。

それを書く上で、特に心がけたことはありますか?

声に出して読むことですね。読んでみてつかえるところがあれば、書き直したり、別の言い回しがないか調べたりして、分かりにくいところを減らしていきました。その結果、いろいろな言葉を知ることができ、また、自分の言いたいことや気持ちにぴったり合う言葉を見つけることもできて、表現力が豊かなものになったと思います。

◆日本語大賞の魅力について

日本語大賞のいいところは、どんなところですか?

日本語大賞は、広がりのある大きなものをテーマとしていますね。だから、テーマに合った内容であれば、自身の体験や気持ちを込めやすい。与えられた題材や図書で書く学校の課題作文と違って、自由に書けるところがいいと思います。

第10回のテーマは「忘れられない言葉」ですが、森田くんがこのテーマで書くとしたら、どんなことを書いたでしょうか?

最近、足を骨折して入院していたときの出来事にしたと思います。体育の授業中に大けがをして、地元の病院に搬送されました。医師からは「30年の医師人生で初めての症例」と診断された複雑骨折でした。しかも、骨折したときは、高校受験が迫っていた11月でした。受験に間に合うのか、元通りに治るのか、不安な気持ちでいっぱいでした。でも、医師が「ぼくが治してあげるよ」と力強く言ってくれたのです。それがぼくの“忘れられない言葉”ですね。

◆日本語大賞応募者へのメッセージ

日本語大賞に応募する人に向けて、メッセージをお願いします。

テーマにぴったり合った内容の文章を書くためには、体験に基づいたことを書くのが大切だと思います。そこに、自分の気持ちや感情を込めていくとよいと思います。その上で読む人のことを考えて、わかりやすい言葉や表現を選ぶことを心がけると、よりよい作文になると思います。

日本語検定-次回受検日