日本語とは,ことばとは,ほんとうに難しいものだと,40年以上もことばとともに仕事をしてきて,今つくづくとそう思う。ことばは唯一自分をささえてくれる味方であり,時には,格闘する相手でもあった。考えれば奇妙な関係である。
正しいことば,美しいことば,というものは,もともとどこかに存在していたわけでも,ましてや誰かがそうと決めて出来たものではないだろう。ことばは,人の歴史とともに,無数の人々のくらしのなかで,生まれ,紡がれてきた。ひとつひとつのことばに,これまでに生き,死んでいった無数の人々のこころと人生がこめられている。人の思いが,ことばをつくってきたのだ。正しいことば,美しいことばは,どこにも存在しない。幻のようなものだ。しかしだからこそ,われわれは,美しいことば,正しいことばをさがし求めずにはいられないのだ。
審議委員として微力ながら力を尽くしたい。
































