ホーム > ご挨拶 > 理事・審議委員の言葉

審議委員の言葉

聖ウルスラ学院 理事長
奈良学園大学 学長

梶田叡一

言葉は,私達が生きていく上で一番土台になるものです。言葉の力が十分にないと,きちんと考えることができません。他の人達と気持ちや用事を伝え合うことができません。昔の時代から伝えられてきた大事なことを受け継ぐこともできません。言葉が使えるということこそ,他の動物達と人間とを分ける大きな違いでもあるのです。

言葉は世界中に数多くあります。しかし,日本で生まれ,日本で育ってきた人にとっては,日本語が土台になります。母語としての日本語の力が十分でないまま,いろいろな言葉を学んで会話できるようになったとしても,考える力は不十分なままになります。

日本語は長い年月を掛けて磨き上げられてきた言葉です。どの水準まで日本語の力がついているか,この日本語検定によって総合的に確かめてみてください。もちろん,外国で生まれ育った人が2番目3番目の言葉として日本語を学ぶ場合にも,その本当の上達の程度を,この日本語検定で確かめてみていただきたいと思います。

フリーアナウンサー
東京成徳大学 応用心理学部 客員教授

梶原しげる

週に1日だけですが、社団法人日本青少年育成協会相談室でカウンセリング業務を担当しています。第一に心がけていることは、クライアント(相談者)の話に耳を傾け、その言葉から、背後にある苦しみや、怒りや、もどかしさという本音を感じ取ること。このとき求められるのは、今語られている言葉に集中し、それを映像化して、クライアントと思いを共有することです。悩みを抱えて来談する人の中には話が混乱している場合があります。相手の思いに沿って、聞き返したり、繰り返したりするうち、話の中身が整理されていきます。話が整理されるだけで、悩みの何割かは解消されていくようです。我々は、くよくよ悩んだりするとき、頭の中で言葉が堂々巡りをしていることがしばしばあります。自分の心が発しているもやもやした思いを、論理的に矛盾しない日本語で記述できるとすっきりするものだということを、クライアントのケースだけでなく、自分の問題でも実感することが少なくありません。日本語能力は悩み解消の基本ツールとして、とても大事なものです。こんな観点からも、日本語検定審議委員として微力を尽くしていきたいと考えています。

日本郵政株式会社 特別顧問

草刈隆郎

企業人にとって最も必要な能力のひとつが「日本語力」です。 企業人にとって最も必要な能力のひとつが,状況に応じて人とコミュニケーションをとる力だと思います。この能力を向上させるのに,どうしても避けて通れないのは,正しい日本語の運用能力を身につけることです。自分の思うことを相手に正確に伝える力,相手の言うことを正確に聞きとる力,その両方の力を兼ね備えていることが,今,強く望まれています。

日本語検定は,楽しみながらこれらのニーズに応えることができる最適な手段だと思います。国際化が進むなかで英語をはじめとした外国語の取得は重要ですが,それ以上に,先ずは日本語の語彙力,敬語の力など日本語力も身につけることが,バランスの取れた企業人として必須の条件となってきます。多くの企業関係者が,この日本語検定をきっかけに,言葉,日本語を意識するようになり,コミュニケーション能力を向上させることを期待しています。

株式会社時事通信社 常務取締役

小松俊樹

ファストフード店に入ると「いらっしゃいませ、こんにちは」。注文品を出して「○○になります」。若い店員さんの受け答えがいつも気になる。「いらっしゃいませ」「○○でございます」でいいじゃないか、と自答する。店員さんは金太郎あめのような受け答え。こんなマニュアルが全国に広がっている。いずれはこれが常識になるのかと思うと、日本語が劣化する危機を感じる。通信社で記者の原稿を点検するデスクを10年近く務めた。記者は誰もが文章の達人と思われそうだが、非の打ちどころのない原稿は1%ぐらい。ほぼすべてに手を入れる。より正確に伝えるために的確な言葉を選び、文章を入れ替えて…と悪戦苦闘が続く。校閲など何人もの目を経て原石がダイヤに磨かれ、難しいテーマでも水が砂に浸み込むような、分かりやすい原稿が生まれる。もっと簡単で正確な言葉はないかと、常に考えていた。努力を怠ると雑な文章になる。自分の日本語力を時折チェックし、美しい日本語を身につける方法として日本語検定をおすすめする。

三省堂「新明解国語辞典」編集委員代表

倉持保男

大学で日本語学を担当していたころのことである。講義の合間に時折り日本語の常識テストを試みた。その一つを紹介しよう。受講生約50名(8割以上が日本語日本文学科の学生)の教室で,「日ごろ私淑する先生から年に数度御指導を賜っている」という一文を示し,この表現に違和感を感じる点はないかと問いかけたのである。大多数の学生は全くない,また,よくわからないと答えた。「私淑する」の意味がわからない,あるいは自分の理解に確信が抱けなかったようだ。「私淑」の「私」から個人指導をする,または受ける意味だと推測した学生の多いことが後にわかった。

我々が日常正しく理解し,適切に表現していると思っている日本語でも,人それぞれの思い込みや勘違いから,とんでもない誤解・誤用をしていることが少なくないようだ。思い込み・勘違いの世界から脱却する上で,日本語検定は格好の機会であると言えよう。積極的にチャレンジされんことを期待したい。

銭谷眞美

東京国立博物館 館長

銭谷眞美

◆美しい日本語について

手元に「美しい日本語のすすめ」と題した一冊の本があります。十年程前、当時の文化庁長官の提唱で文化庁内に設けられた「美しい日本語について語る会」の成果をまとめたものです。

この会では、言葉の乱れは国語力の衰退にもつながるとして、その背景をさぐりつつ、一人ひとりが美しい日本語の使い手となるよう努力する必要性やそのための方策について話し合われました。

話し手や書き手が心をこめて使う言葉は美しく、また、日本語には言葉そのものとして美しいものがあるということを確認し合いました。人間の心と密接に結びついた美しい日本語を使うためには、すぐれた文章に触れる、豊かな語彙を身に付けるといった切り口から日本語をみていくことの重要性も指摘されています。

日本語検定委員会の活動が、こういった観点から人と人とをつなぐ美しい日本語の使い手を育てることに貢献することを期待しています。

語り部、かたりすと
大阪芸術大学 教授

平野啓子

最近,テレビのバラエティ番組を見ていて感じることの一つに,売れているタレントさんは,語調は丁寧ではないけれど,言葉遣いはしっかりしているということがあります。

言うまでもなく人間の話し言葉は,言葉そのものを伝えることが目的ではありません。言葉の意味を媒介にして,相手に意図を伝えることが目的です。そのとき,聞き手の注意が話し手の言葉遣いの誤りに向いてしまったり,まして,意図がとらえられず戸惑ってしまったりしたら,もう目的を果たしていないことになります。何の抵抗もなく,すんなりと相手の頭と心に入っていく話し方のできることが最も理想的であり,それは,言葉の選択,言葉と言葉の連接など,基本的なことができていて初めて可能になります。

携帯電話やメールの登場が,私たちの言葉が社会に晒される機会を少なくし,規範性や社会性を危うくしていることは否定できないでしょう。この検定が,こうした面について,自分の言葉を見直すきっかけになればと思います。

元全日本空輸株式会社 取締役執行役員

山内純子

「日々私たちが使っている日本語は美しいだろうか?」こんな疑問から,ANAグループでは数年前に美しい日本語に対する取り組みを行いました。「ことば」は,お客様を大切にする「心」を表現する重要な要素です。勿論,心を込めて言葉を使うことは大切なことです。正しい言葉を使わなければ相手に気持ちが伝わりません。しかし,正しい日本語を使うことは思っている以上に難しいことです。日頃から正しく言葉を使っていないと,とっさの時に口から出てまいりません。現代を生きる私たちが目指すのは,その場に合った正しい言葉を,心を込めて使うこと。そのことが『人に思いを伝える』ことに繋がってゆくのではないでしょうか。日本語検定が「正しく美しい日本語」に役立つことを願ってやみません

NHK日本語センター専門委員
獨協大学 言語文化学科 非常勤講師

梅津正樹

人間は「言葉」を獲得することで、森羅万象を手元に引き寄せ、納得し安心してきた。目に見えるものばかりか、思考や感覚までも言葉で表し、理解している。しかしそれは、分かった積りになっているだけなのかも知れない。言葉は人の生活の中から、必然的に生まれる。環境が変われば、それが表す世界も微妙に「ずれる」。人それぞれの解釈は、完璧には一致しないのである。では、その言葉を使って、日常生活を送ることができるのは何故か。それは、一つ一つの言葉に対して、ある程度の共通認識を持っているからである。その認識の基は、これまでの学習や経験や感性といった、個々の背景である。従って、誤解や行き違いが生じることは、当然のことなのだ。では社会人として言葉を媒体にした、正確なコミュニケーションを図るために、どうすれば良いのか。それは、それぞれの言葉や表現に対する、自分と他者の認識を極力、一致させておくことだ。言い換えれば、社会規範を知っておくことだ。その一つの手段が「日本語検定委員会」の検定なのだ。この検定は単純な○×形式のクイズではない。認識力・運用能力をも考慮した評価方式を採っている。常識ある社会人として、胸を張って暮らしてゆくために、この検定をお勧めする。

慶應義塾大学 日本語・日本文化教育センター 教授

木村義之

仕事柄、留学生から日本語でメールをもらうことがあります。以前、留学生が私に課題を提出する際のメールで、「ご質問がおありでしたら、遠慮なくご連絡ください。」と締めくくる文が送られてきました。この文を書いた学生は非常に高い日本語力の持ち主でしたが、私は次のように返信しました。「このような表現は、ふつう、目上の人には使いません。たしかに、「質問がおありでしたら」と敬語を使っているので正しそうに見えますが、相手から質問を受け付ける、ということが教える側に立った言い方になってしまっているため、適切な日本語とは言えません。」この学生からは後日、指摘に対する感謝のメールが来ました。今までそのことに気づかなかったというのです。このような失敗は何も留学生に限った話ではなく、私たちもうっかり使い続け、気づかないままになっている誤りは少なくないように思います。言葉の正しさは対人関係と発話状況から導き出されることもある、というエピソードの一つです。
 日本語検定が言葉遣いを見直すきっかけとして、多くの方に活用され、広がっていくことを願ってやみません。

作詞家、作家
淑徳大学 人文学部 客員教授

吉元由美

「敷島のやまとのくには言霊の幸はふ国ぞ真幸くありこそ」柿本人麻呂が詠んだこの歌は、言葉とは何かということを、いつも私に示してくれます。「この国は言葉の力によって幸せがもたらされる国」いにしえの歌人は、言葉の持つ力をよくわかっていたのです。
 言葉には、心が宿っている。これは、私がいつも著書や講座の中でお伝えしていることです。言葉はコミュニケーションの道具でも手段でもない。心を伝えあうもの。言葉はその人を表します。日本語の乱れが言われて久しいですが、同時に日本語にこもっている美しい心も失われていくような気がしてなりません。言葉は時代と共に変化していくものです。私自身が使っている言葉も、変化してきた日本語なのかもしれません、しかし、正しい日本語を知り、身につけていくと、心の中から清まっていくような感じがするのです。
 「言葉が乱れると国力が落ちる」国力とは経済力でも軍事力でもない、文化だそうです。経済力は国の政策で取り戻すことができるかもしれませんが、失われた文化を取り戻すにはひとりひとりの意識が変わることが大切です。そのためにも、日本語検定が正しい日本語の美しさを身につけていく大きな機会となると信じています。

京都産業大学 教授

若田加寿子

「正しい日本語を話すことができる」ようになりたいと願う人は、年々増えています。その理由の一つに、「ホスピタリティ」があげられると思います。
 ここ数年、ホスピタリティの重要性が注目され、サービス産業だけではなく、教育や医療など様々な分野において、また、学校、家庭、地域など日常生活においてもあらゆる場面でホスピタリティの発揮が求められています。そのホスピタリティを発揮するために、最も必要な能力がコミュニケーション能力です。ホスピタリティが発揮される場面には、必ず人と人との交流があり、対話が求められ、適切に自分の気持ちを相手に伝えるスキルを身につけておかなければなりません。正しい日本語を話すことが出来なければ、自分の意思や意見を正しく伝えることができず、コミュニケーションそのものが成り立ちません。
 言葉遣いはその人の第一印象を左右する重要な要素であり、また品格を表します。なかでも、敬語表現ができないために、目上の方との会話に尻込みする若者が多いのは、非常に残念なことです。一人でも多くの方が、日本語検定を通して、自信を持って正しく、美しい日本語を話すことができるように、審議委員として微力を尽くして行きたいと思います。

日本語検定を受検される方へ

個人受検のお申し込み

団体受検のお申し込み

受検の流れ

データから見る日本語検定

検定データ

日本語検定問題に挑戦!

日本語検定の問題とはどんなもの?

いますぐ検定問題にチャレンジしてみよう!

検定問題に挑戦

教材のご紹介

日本語検定公式問題集

配信コンテンツ

日本語ひとくちエッセイ


ブログパーツ配布中!日本語検定オリジナルブログパーツ配布中!ブログに貼って楽しもう!


日本語検定メールマガジン



第3回日本語大賞審査結果