社会常識を身に付けるためにも役立つ「語検」
日本語力の低下が見られるのは,子どもたちだけではない。企業社会でも,言葉遣いの乱れから企業はすべてが乱れてくると言われ,企業業績を左右するものとして,社員の日本語力向上に関心を持つところが多い。
昨年行われた日本語検定(語検)に団体受検した北海道を代表する大手菓子メーカー「柳月」(本社・北海道音更町)の常務取締役,中村卓爾さんに話をうかがった。
(聞き手は,時事通信社編集委員 牧俊朗氏)
Q:昨年10月に行われた第2回日本語検定に社員の皆さんが団体受検されたとうかがっていますが,結果はいかがだったのでしょうか。
A:183人が受検して,このうち74%,135人が合格と認定されました。準認定者を含めるとちょうど90%になります。私の予想よりも高く,それなりに社会常識や日本語力を持ち合わせていることが分かったので,一安心しました。
Q:日本語検定を受検したきっかけをお聞かせ下さい。
A:私どもの会社には,「五つの誓い」というものがあります。お菓子を通して家族の絆や人と人の心を結び付け,地域社会への貢献を果たすという願いから定めたものです。職場にあっても,そのような考えから,接客の時の態度,言葉遣い等が先輩から後輩へ引き継がれるようにしていますが,店舗により格差が出ているのも事実ですので,これを直していきたいと思っていました。
その一方で,最近,テレビでも中学校や高校の入試問題などを解く番組が多くなり,関心を持っていました。社員に社会常識を身に付けさせるのに役立つものが何かないだろうかと考えていたちょうどその時に受検の勧めに来られ,社内からも「このような検定は会社にとって有益ではないか」という声が上がり,受検することにしました。すべてタイミングがフィットしたと思います。
Q:社員の皆さんの反応はいかがでしたか。また受検を機会に何らかの変化は見られましたか。
A:受検前は,過去の問題が載っている問題集を書店で購入し勉強していたようです。日ごろ「本や新聞を読みなさい」と言っても,反応は鈍かったのですが,変わるものだと驚いています。各ブロックから全員が集まる会があるので表彰式を行いたいと思っています。
Q:現在,社員研修などで日本語に関する教育をしていますか。
A:新入社員研修では敬語の指導を一通りやりますが,他には特別しておりません。検定の結果を社員評価に反映するようなことを今のところは考えてはいませんが,級が上がると考えたいと思います。
この受検をきっかけに,日本語の重要性を認識してもらい,さらに一段上を目指してもらいたいと思っています。

株式会社柳月 本社外観