


2016年11月
「漢字を正しく使い分けよう!(その1)」


皆さん、お久しぶりです!先日、平成28年度第2回日本語検定が行われましたね。受検された皆さん、お疲れ様でした。もちろん、僕も2度目の1級認定を目指し、受検してきましたよ。今回は勉強に集中するために、この日本語道場を休載までさせていただいたので、合格していてほしいところです。来月の合格発表まで、皆さんと同じくドキドキしながら待ちたいと思います。
ところで話は変わりますが、この前本屋さんに行った時に、店頭の貼り紙に「芥川賞授賞作家最新作あります!」と書いてありました。「授賞」とは文字通り「賞を授ける」という意味なので、「賞を受ける」という意味の「受賞」が正しい表記です。もちろん本屋の店員さんが間違えたのだと思いますが、もしこの表記の通りに受け取ると、亡くなっているはずの芥川龍之介が最新作を出したみたいなことになってしまいますね。本当にそうだとしたら、まさに話題騒然の作品になりそうですが。
このように、同じ読みでも漢字の使い分けを間違えると全く意味が違う言葉になってしまうことがよくあると思います。なので今回はそんな言葉をいくつか、私達の身近にありそうなシチュエーションの分かりやすい例文でご紹介していこうと思います。題して「漢字を正しく使い分けよう!」
『新明解国語辞典(第7版)』には、「師事」は「生涯の師として、その教えを直接に受けること」、「支持」は「その人の意見・行動などに賛成して、後援すること」とあります。それにしても、生涯の師と仰いでいる人がこんな風に罵声を浴びていたら、どんな気分なんでしょうか。もしかしたら一気に熱が冷めて、「師事」することも「支持」することもやめてしまうかもしれませんね。
「感傷」は「なんとなく悲しくなって物思いに耽ったり、心を痛めたりすること」、「干渉」は「他者のことに立ち入って、意見を述べたり指示を与えたりすること」です。友達でも恋人でも家族でも、ちょうどいい距離のとり方というものがあります。あまり相手の心の中に土足で入り込んで「干渉」してしまうと、嫌われてしまうこともあるので気をつけましょう。この親子の場合、むしろお父さんの方がショックで「感傷的」になっているかもしれませんが。
「歓喜」は「非常に喜ぶこと」、「喚起」は「意識下にあった物事などを呼び起こすこと」、「換気」は「建物内部の空気を外部の空気と入れ換えること」。読み方は同じですが、三つとも全く意味が違いますね。それにしても、いくら家族から送ってもらったとはいえ、高橋はなぜこの三つをチョイスしたのでしょうか?くさやとブルーチーズはともかく、ドリアンは果たしてお酒に合うんでしょうか?いずれにしても、これだけ強烈な臭いが部屋に充満してしまったら完全に「換気」するのは難しそうですが、それだけに臭いから解放された時の佐々木と小林の「歓喜」はひとしおだと思います。そして高橋には、次から臭いがあまり出ないおつまみを持ってくるように注意を「喚起」する必要がありそうです。
今回のテーマはいかがだったでしょうか?日本語検定には「表記」という分野がありますし、こうやって漢字の使い分け方を僕と一緒にどんどん覚えていきましょう。
そしてこの場を借りて一つお知らせさせてください。来年1月9日(月・祝)に「第3回くりおね単独ライブ」を開催します!詳細は僕のTwitterやブログをチェックしてみてください。「日本語道場」読者の方々のご来場をお待ちしています!
- レフト鈴木
- 1987年埼玉県生まれ。千葉大学卒業。お笑いトリオ「くりおね」ツッコミ担当(ワタナベエンターテインメント所属)。フジテレビ「日本語探Qバラエティクイズ それマジ!?ニッポン」、テレビ朝日「GURIGURIくりぃむ」、チバテレビ「Girl’s Pop’n Party」「おはYo! HIテンション」等に出演。2013年日本語検定1級に認定。
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