活用事例 - 企業その他

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    全日本空輸株式会社 東京空港支店
    顧客サポート部長

    坂部 千恵子 氏

    言葉に相手への気持ちを込めること

    「最近の言葉,何か少し変ではないか」の意識に働きかけて,ANA グループ内では「日本語」に関心を高めてもらう活動を展開しています。予約センターや空港,客室などフロントラインのスタッフのみならず,お客様に直接接しない社員も「敬語」を使い慣れていないとお粗末な言葉遣いをしてしまいます。「敬語」を正しく理解し正しく使うのはもちろんのこと,言葉に相手への気持ちを込めることで様々な色を添えるということも大切です。

    ビジネスパーソンに必要な能力のトップに,「コミュニケーション能力」があげられる時代になりました。コミュニケーションのツールである日本語を正しく使いこなすためにも,「日本語検定」が果たす役割は大きいと思います。言葉は時代とともに変化するものですが,世代・環境・価値観によって「美しさ,丁寧さの基準」も異なります。敬語の使い方を学び,日々「言葉」を研鑽していくうえでも,「日本語検定」はどうやら多くのビジネスパーソンにとって有効な手段になっているようです。

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    アスカグループ 代表取締役

    丸 淳一 氏

    優れたサービスを提供していくために・・・

    当社は,葬祭業の会社です。業務で,礼義作法や正しい日本語を使うことが求められます。また,儀礼文化の一端を担う仕事として「読む」「書く」「話す」は,特に重要視しています。そこで,全社員が正しい日本語力を身につけているかどうかの目安を測る手段として,日本語検定を利用しています。

    取り組み方法としては,合格ラインを3級に設定し,年に1回,役職者・入社年度の古い順に,受検してもらっています。参考図書としては,4種類の領域別問題集を購入し,貸与しています。1年間,しっかり勉強し理解したうえで,試験に臨むよう指導しています。 普段の生活の中から,本を読む,辞書を引く,文章を書くということをしていないと,なかなか認定レベルに達することができません。お客様に優れたサービスを提供していくためにも,常に基本を大切にし更なる向上を目指して努力していきたいと考えています。

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    株式会社帝国ホテル 帝国ホテル東京
    レストラン部長

    犬丸 徹郎 氏

    ホテル業にとって,「言葉の扱い」はとても大事で,私たちも日々勉強しており,常に意識していることなのです。帝国ホテルというと,海外からのお客様ばかりというイメージがあるかもしれませんが,レストランの利用など,多くの日本人のお客様がいらっしゃいます。

    そのため「日本語」の問題はとても大切だと 思っています。言葉を相手や場面によって柔軟に運用することによって,コミュニケーションは成立すると思います。但し,そのためには,やはり日本語を正し く運用できる能力がどうしても必要になってくると思います。日本語検定はその能力を身につけるのに大変役立つと思いますし,期待しております。

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    株式会社バスコ 社長室長

    坂下 裕明 氏

    企業メッセージを、正しい日本語で発信しよう

    メール、広報資料、製品マニュアルなど、企業が社外へ向けて発信する文書は多岐にわたります。これらの文書を作成する際には、適切な言葉を用いて、私どもの伝えたいことが読んでいただいているかたにちゃんと伝わり、ご理解いただくことがとても重要だと考えています。 そこで、弊社では、こうした対外的な文書に適正な日本語が使われているかを見直すため、昨年、社内にワーキンググループ(WG)を設置しました。そして、WGメンバーの日本語基礎力の向上を目的に、全員で「日本語検定」受検にチャレンジしました。

    「日本語検定」の6つの出題領域を学ぶことで、ふだん何げなく使っている言葉を総合的に見直すことができました。何より、今回の受検を通じて、メンバーが日本語を意識して使うようになったことが大きな進歩です。まだまだ小さな取組ですが、この意識を少しずつ社内に広げていこうと思います。

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    楽天証券株式会社

    人事部

    仕事に活かせる日本語力の修得を

    楽天証券は、インターネット取引を専業とする証券会社です。業態柄、お客様との接点は、インターネットやメール等の文章、あるいは電話でのコミュニケーションが中心となります。直接対面でのご説明ではない分、より一層お客様に対して「簡潔かつ正しい表現」で商品・サービスのご案内をすることが、営業上もコンプライアンス上も求められているといえます。

    そんな課題認識の中、この「日本語検定」は社員からの推薦により話が持ち上がり、ビジネススキル向上の一環として会社としての取り組みを始めることとなりました。

    社内の反応も上々で「受検を通して自分自身の日本語の乱れに改めて気づかせられました」という社員の感想があったり、当初は受検対策用にテキストを広げていた社員が、学んだ知識を業務に取り入れ、仕事に活かしながら日本語力の修得を楽しんでいる様子も見受けられるようになるなど、「仕事に活かせる日本語力の修得を」という導入目的が浸透しつつあるのを強く実感しています。

    日本語検定は日本語力の向上のみならず、社員の成長意欲の向上にも貢献できるものと考えます。今後、日本語検定が多くの企業で活用され、あらゆるビジネスシーンで活かされることを期待しております。

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    コクヨ株式会社 人材開発部

    平田 実 氏

    社会人として日本語力を見直すきっかけに

    企業が事業を進めて行く上で、社内外の方々との信頼関係の構築は欠かすことは出来ません。コクヨでも「仲間作り」という考え方で、お客様を含め社内外の方々と信頼関係を築きながら事業活動を行なっています。

    しかし長い間かけて築き上げた信頼関係もちょっとしたコミュニケーションの失敗で無になってしまうことがあります。

    日本語は語尾を少し間違えただけで相手への伝わり方が変わることがあります。頭では注意が必要だと理解しているはずですが、同時に心のどこかでは、母国語ということによる甘えも持っていると思います。

    今回、新入社員研修の一環として「日本語検定」を導入する予定です。学生から社会人として意識を変えていくのに合わせて、自らの日本語力を実感し、見直すきっかけなることを期待しています。

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    富山県学校生活協同組合 理事長

    中 正和 氏

    生涯学習がキーワード

    『鍋洗ふ前に蛍がふたつみつ』できの悪いこの俳句も、『前を』とわずか1文字を直すだけで蛍に生気が甦ります。繊細かつ優美で奥深い日本文化の象徴である日本語。日本語検定会を職場に導入したのが2年前。生協人としてお客様や取引業者、同僚など、周りの人たちに日本語を上手に活用できることは重要なことで、職場研修として出発しました。加えて重視したのが、『人は生涯学び続けて生きる』と言う理念です。

    そこで職場以外にもこの検定を紹介し受検を勧誘しました。今では保険会社や銀行、建設会社などの協力を得ています。初めは「いまさら試験ですか」と消極的だった方々も今は表情が輝いています。

    本年の照準は学校の先生方で、まずこの日本語検定を広く認知していただくことに置いています。

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    八戸液化ガス株式会社
    はちえきキャンパス 企画担当

    大黒 亜紗子 氏

    より多くの人に、受検のチャンスを

    八戸液化ガスは、LPガスや石油などのエネルギーをお届けするだけでなく、生活の様々な場面にサービスをご提案できる企業を目指しています。この方針に則り、はちえきキャンバスはカルチャースクール事業を行っています。

    これまで準会場として2回の検定を実施したところ、受検者は自社の有志社員を含む企業の方がほとんどでした。しかし今後は、企業人のみならず広く一般の人々に向けて日本語検定を提案していくつもりです。

    カルチャースクールには、あらゆる年齢・職種の人が集います。企業や組織に属さなくても日本語検定に興味のある方がその窓口とするには、最適の場所です。また、日本語の乱れが取り上げられる今、日本語について考える機会をより多くの方に提供できることは、私どもの目的とする社会貢献にもつながると考えています。

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    日本私立学校振興・共済事業団 大阪会館
    ホテル大阪ガーデンパレス 宿泊支配人

    市川 寿浩 氏

    接客業なのに!

    立ち居振る舞い、身だしなみは勿論のこと、語学力についても胸を張れるのがホテルマンであると思っていました。そのため、若いスタッフの敬語使いに「あれ?」と思うと、よく注意をしていましたが、ある日、ふと見ると、おかしな身振りのスタッフがおり、近づくと、これまたおかしな口調で道案内をしていました。言葉の乱れが所作にも影響し、「これではイカン」と、講師を招いてロールプレイ等の接遇講習を行いましたが、効果があったのは1ヶ月程度でした。そんな時に「準会場登録」のお話をうかがい、受検者を募ったところ、興味を持つ人の多さに驚きました。これは、準会場ならではであったと思います。

    結果はどうあれ、自らの意思で申し込んだわけですから、本当に良い啓発・スキルアップにつながり、ホテルマンシップあふれる人材になると思います。

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    ANAラーニング株式会社 研修事業部
    研修課 チームリーダー

    上田 紀子 氏

    美しい日本語を話せることは一生の宝

    日本語は、微妙な表現も多く、豊かに心情を表わすことが出来る素敵な言葉ですね。言葉には流行や変化もありますが、研修で皆様にお伝えする立場として、より正しく美しい日本語を使うことに留意しております。

    ANAラーニングの研修では、ビジネスにおける言葉遣いをお伝えしています。例えば、敬語は相手に対する敬意の表れであり、仕事上でも、相手の立場や心情を理解した思いやりのある言葉を選び、伝えることが求められます。気持ちのこもった正しい敬語を使うことは、お相手と心が通い合い、信頼を生み、人間関係をスムーズにして仕事を円滑に進める効果があります。

    また、言葉は自分の品性と教養を表し、ひいては会社の品格につながりますから、一語一語を大切にしたいものです。

    私も日本語検定を受検し、日本語に対する自身の強みと弱みを知りました。言葉の誤用や、知らない表現に日本語の奥深さを実感し、日々使用する言葉に対して敏感になることができました。美しい日本語を話せることにより、人間的魅力が向上し、一生の宝を得ることにつながります。弊社では、日々の研鑽のためのツールとして日本語検定を役立てています。

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    株式会社ビーエスピー
    顧客サービス部システム・インテグレーション課

    高見 和仁 氏

    正しくわかり易い日本語の必要性

    株式会社ビーエスピーは、主に企業の基幹業務システム運用管理のためのソフトウェア製品を30年以上にわたって開発・販売・サポートしています。当社では全社員に「正しい日本語」について改めて考える機会として、日本語検定受検を奨励しており、受検費用は全額会社で負担しています。

    近年、製品の開発業務において、国内外の協力会社にプログラム製造を依頼することが増え、プログラム製造のための要件や設計を伝える様々なドキュメントの重要性が増し、言葉の間違いや曖昧な部分の排除、常に「正しくわかり易い」表記など、基本的な日本語能力が不可欠になって来ました。

    今後も「自分の日本語力を客観的に確認できるツール」として、日本語検定を有効活用することで、グループ全社員の日本語能力アップ、日々の業務効率アップ、更に社内外におけるコミュニケーション能力の向上を目指して行きたいと考えます。

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    図書印刷株式会社 人事労政部長

    堀 正信 氏

    合格を昇格の要件に

    日本語の能力は,仕事をする上で必要不可欠なコミュニケーションスキルの一つです。社員の日本語に対する意識を高め,その能力が磨かれれば,企業価値を高めることにもつながります。

    当社では,これまでも数十種類の資格試験のメニューを作成し,従業員の自己啓発を奨励しており,「日本語検定」スタートに際して,このメニューに,新たに「日本語検定」を加えました。各人がこのメニューの中から一つ以上を選択し,合格することを監督職層への昇格要件にもしています。

    「日本語検定」は,受検者の便宜を図るために,平日に5 か所の社内会場で同時に実施し,前2 回の検定で,延べ300 名以上の従業員が受検しました。社内では,日本語に対する関心がさらに高まり,楽しみながら自己啓発に取り組む雰囲気が醸成されてきたと感じています。

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    トヨタ自動車株式会社
    フリート営業・特装部 フリート営業室長 担当部長

    新池 秀一 氏

    学ぶ過程が,ビジネスマンの能力を高める

    ビジネスマンにとって,言葉は業務の根幹にかかわります。正しい言葉遣いで話ができること,きちんとした文書が作成できることは必須の能力です。営業の場で乱れた言葉を使っていては,会社全体の信用を損なうことになりかねません。

    部下には日頃から,話し方,書き方についても勉強を続けるよう求めていますが,何かの目標がなければ,なかなか勉強にも取り組みにくいものです。「日本語検定」は,一つの目標になるとともに,出題にビジネスの場面設定が多く,業務に直結する内容です。そのため補助を出して,部下に受検をすすめています。検定結果については,さほど問題にしていません。合格することだけが目的なのではなく,検定を目指して勉強する過程で,それぞれが自己の能力を高めてくれることがとても重要だと考えているからです。身に付けた力が,ビジネスの場で必ず役立ちます。

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    凸版印刷株式会社
    人事労政本部 人事部長兼人材開発部張

    坂田 浩一 氏

    確かな日本語力は,全てのビジネスパーソンのベーシックスキル

    凸版印刷は,印刷技術を核に事業領域を広げ,情報や文化の担い手である「情報コミュニケーション産業」のリーディングカンパニーとして多様な事業を展開しています。

    人財開発部としては,①お客様の信頼に応える第一歩として,②論理思考やコミュニケーション力の核として,日本語力は重要であるという視点から,「日本語検定」受検を,グループ会社を含む全社員に推奨しています。

    特に新入社員には,自分の実力を正しく知り,自ら学ぼうとする気持ちに結びつける機会提供の一環として,全員を対象として実施しています。

    実際に受検した人からは「予想以上に難しく,日頃いかに正しい日本語を使えていなかったか思い知らされた」という感想が多く聞かれるようです。今後も,「確かな日本語力は,全てのビジネスパーソンのベーシックスキル」という考え方を踏まえて,引き続き日本語力の向上に取り組んでいきたいと考えています。

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    日本商工会議所・東京商工会議所専務理事
    日本語検定委員会理事

    中村 利雄 氏

    コミュニケーション能力向上のために

    >最近,コミュニケーションの重要性を痛感しています。何といっても,組織が最大限の力を発揮するためには,外部との関係を含めて円滑なコミュニケーションが不可欠です。よく,あの人はコミュニケーション能力が優れていると言われることがありますが,その能力とは何なのか。私は次のように考えています。

    まず,第一に物事を正しく認識していること。第二に,自分の言わんとすることを正しく表現できること。第三には,相手の言わんとすることを正しく理解することです。優れている人とは,この三つの能力を有し,かつそのために努力をしている人ということになりますが,その基礎をなすのが日本語力です。「日本語検定」はその格好の手段です。

    コミュニケーションの向上に,フェイス・トゥー・フェイスの接触は欠かせません。フェイス・トゥー・フェイスであれば質問が出来るし,相手の表情から読み取ることもできるからです。

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    武州ガス株式会社 社長室人事グループ

    田中 覚 氏

    日本語をあらためて学ぶ良い機会

    当社ではガス事業に関連するガス主任技術者等の技能資格のみならず、社会人としての知識、技能の向上と、社会人としての素養を高めるため、パソコンや漢字、英語をはじめ幅広い分野の資格取得と通信教育の受講を社員に対し奨励しています。

    昨今、若年層においてコミュニケーション能力が低下していると言われています。企業の採用担当者が学生との面接で重視していることとして「コミュニケーション能力に長けていること」が上位ランクされるほど、コミュニケーション能力の保有は今や非凡なものとなっています。

    コミュニケーションの源となるのは「日本語」ですが、話し言葉においても文章においても、正しく使われていない状況が見受けられます。 学生時代は日本語を国語等の教科で学ぶことができましたが、社会人になって日本語をあらためて学ぶ機会はほとんどありません。

    一方、会社では社内、お客さまとの連絡には今や電子メールは欠かせないものとなっています。メールの文中での敬語、語彙、文章の不適切な使用により、会社の信用、信頼を失いかねません。お客さまとの接客時においても同様で、社会人として日本語の正しい使い方は一層、重要なものになっています。

    そこで、人事グループの有志が日本語検定を試験的に受検し、3級の出題項目が社会人として必須なものであると判断しました。そして、本検定を当社の奨励する資格として認定し、平成22年11月には社員の約半数にあたる101名が受験しました。本検定は正しい日本語の使い方をあらためて気づかせてもらえる良い機会になったと思います。今後も会社員の認定に向けての取り組みを続けていきます。

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    e日本語教育研究所 代表

    白寄 まゆみ 氏

    あなたの日本語力の本当のレベルは?

    「そんなつもりではなかったのに・・・」「どうして怒っちゃったんだろう。」「なんでそうとるかなぁ・・・・」「だから、言ったじゃないの・・・」「そうじゃなくて・・・」など、自分の意図がうまく伝わらないような経験をしたことはありませんか。

    あるいは、「なんで、そんな言い方されなきゃならないの?」「えっ!どういう意味?」「嫌なこと言うよなぁ・・・」「なに?このメール・・・」など、意外なことを言われたり、反応が返ってきたりしたような経験はありませんか。

    そのようなことの多くが、実は、伝える側、あるいは、受けとめる側の日本語力・日本語表現力不足によるものなのです。つまり、十分なコミュニケーションの基礎には、言語力があるということです。

    学校においても、職場においても、あるいは、家庭においても、コミュニケーション不足は、現代社会において深刻な問題となっています。ここ日本でも、日本人の言語力、つまり、「日本語力の低下」という問題が叫ばれています。そのような時代に合わせ、「日本語」をクイズ形式に出題するテレビ番組も増えてきました。日本の日本語ブームともいえるでしょう。

    そのような中で生まれたのが、「日本語を使うすべての人のための検定」と明確に掲げている「日本語検定」です。「外国人」「日本人」という枠を超えた理想的な検定ができました。文部科学省後援事業として行われているこの検定の受講者は、なんと40万人を超えたそうです。

    語彙・文法・言葉の意味・表記・漢字・敬語の6つの領域から出題されています。1級から7級まであり、大人はもちろん、小学生も受験しています。大手企業の採用基準の一つにもなっているようです。外国人のみなさんの本当の日本語のレベルを知る機会にもなる検定試験なのではないでしょうか。

    4月4日に十周年を迎えたe日本語教育研究所は、「日本語」に外国人と日本人の壁を自ら作るような「外国人のための」ということばを捨て、ボーダレスの日本語教育を推進していこうと思っております。

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    人間文化研究機構 国立国語研究所
    日本語教育研究・情報センター 准教授

    宇佐美 洋 氏

    社会と積極的に関わる努力をしなければ。身につけていく知識が問われている

    日本語検定は,基本的には日本人(より正確には,「日本語を母語とする人」)を対象とする言語テストです。つまり,日本人ならだれでも答えられる「わけではない」ことがらが出題されていることになります。

    言い換えるならば,「日本で生活していれば自然と身に着く知識」ではなく,「社会と積極的に関わる努力をしなければ身に着けにくい知識」が問われている,ということです。社会の中で他の人々からの信頼を得るためには,まさにこういう種類の知識が必要になるのです。それは,外国人の皆さんにとっても同じことです。

    日本語検定は,「社会的信頼」を得るためはどのような日本語の知識が求められるか,ということについて,特に外国人の皆さんに対し,非常によいヒントを与えてくれるでしょう。

    もちろん,知識さえあれば社会的信頼が得られる,というわけではありません。受験者の皆さんには,検定で高得点を取ることを目指すだけでなく,検定で得られた知識を社会に中で活用していくやり方についても,ぜひ各自で考えてもらえたら,と願っています。

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    時事通信社 総務局人事部長

    皆川 毅 氏

    日本企業の人事担当者から見ても、日本語検定での実績は信頼できる指標になります。

    経済のグローバル化に伴い、日本企業でも社員の多国籍化が進んでおり、統一的な意思疎通ツールとしての、英語の「社内公用語」化が注目されています。その一方で、日本関係のビジネスで活躍を目指す外国人の間では、日本の企業文化・慣習を理解してコミュニケーション能力を高めたいというニーズから、高い日本語スキルを身に付けることへの関心も高まっています。

    時事通信のような報道機関でも、外国人が職場に携わる機会は少なくありません。「ニュース」という日本語そのものを中核商品として扱うため、外国人といえども日本語に関するセンスは仕事の上で欠かせません。

    もともと日本人を対象に生まれた日本語検定は、高度で幅広く自然な言語能力を問うものであるだけに、このように日本語を使った職域での活躍を望む外国人にとって、日本語スキルを磨くための非常に有益な挑戦の場となるでしょう。

    日本語検定は国内だけでなく、海外の在留日本人を主な対象に欧州・アジア各地でも試験が行われてきました。最近は、日本に関心を持つ海外の人々、日本に関わりのある仕事への就職を希望する外国人の受検が増えているといいます。日本企業の人事担当者から見ても、日本語検定での実績は、その人物の日本語能力を測るための非常に明確で信頼できる指標となり得ます。

    今後、こうした外国人の方々がキャリアアップにつなげていくための貴重なチャンスとして、日本語検定がその存在感を高めていくことを期待します。