活用事例 - 大学・短大

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    共愛学園前橋国際大学 学長補佐・教授

    佐藤 髙司先生

    日本語力を磨く絶好の機会 ―日本語検定の活用―

    共愛学園前橋国際大学は、群馬県に位置する、キリスト教主義に基づく単科大学です。2012年度には文部科学省の「グローバル人材育成支援(GGJ)」に、また2014年度には同省の「地(知)の拠点整備事業(COC)」、「大学教育再生加速プログラム(AP)」に採択されました。地域に根差しながら地域と世界をつなぎ、国際化に貢献できる人材を育成しています。地方の小さな私立大学でありながら、次世代の地域社会を牽引するグローカルリーダーを育成する大学として、現在、全国からの注目を集めています。(3事業すべて採択されたのは、全国で4大学だけです。)

    さて、地域社会を牽引するグローカルリーダー(すなわち、地域に根差しながら地域と世界をつなぎ、海外の活力を地域に取り込み地域の振興を先導する人材)をめざす学生たちは、もちろん、英語をはじめとする外国語力が求められています。そして同時に、その基礎となる確かな日本語力の持ち主であることも期待されています。日本語力は極めて重要な基礎力であり、人間力なのです。

    本学では、その日本語力を学生たちが自ら測ることができる貴重なバロメーターとして、日本語検定を活用しています。「国語表現」という講義では、日本語検定の受検を積極的に勧めています。また、合格級に応じて、成績に結果を反映させることができるような仕組みも取り入れています。

    高校を卒業したばかりの学生には、自らの日本語力の確認ができるよい機会であると考え、日本語検定3級の受検を勧めています。就職や進学を控えた学生には、自身のキャリアの一つとして生かせるように、日本語検定2級の受検を勧めています。受検結果として送られてくる「個人カルテ」は、領域ごとに自分の実力がわかるようになっていますので、このカルテをしっかりと見直すことは、今まで身につけた自分自身の日本語力を見つめなおし、今後学習すべき内容の指標を見つける手段として、大変有効であると思います。

    受検級や合格級は様々であっても、本学の学生にとっては、受検・合格に向けて一所懸命に準備し、受検結果を見つめなおすことが、人間力でもある日本語力を磨く絶好の機会となっています。

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    十文字学園女子大学 文芸文化学科 准教授

    星野 祐子先生

    ふだん意識しない日本語を意識するきっかけに

    日本語を母語として育った学生にとって,日本語は身近にある無意識的な存在。そのふだん意識しない日本語を意識するきっかけとして,本学科では日本語検定の受検を推奨しています。

    今年度からスタートした表現文化学科には、文学や表現への関心が高い学生が多く在籍しています。ただ、豊かな表現を支える確かな日本語力は,十分備わっているとはいえません。

    短大生の就職活動は1年次の12月から始まります。日本語力は就職活動にのみ求められるわけではありませんが,社会人に必要な日本語力を身につけるという意識は早い段階で持っていてほしいもの。「日本語表現」という講義では,日本語検定の出題範囲に準拠した学習内容を組み,日本語に関心を持ち,日本語力を着実に伸ばすことをねらいとしています。学生も,検定合格という目標に向かって,意欲的に取り組んでいるようです。

    検定をきっかけに,自らの日本語を見つめ直し,多くの学生が日本語の豊かな使い手となってくれることを期待しています。

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    四国大学短期大学部 ビジネス・コミュニケーション科 教授

    武田 章秀先生

    協調性,創造性といった社会人基礎力の養成には,周囲と円滑な関係を築くためのコミュニケーション能力が不可欠です。本学科でも「国語表現法」などの科目を配し,コミュニケーション能力の習得に力を入れています。しかし,日常で使用している日本語を改めて勉強する意欲がわかない,間違った日本語の使い方をしていることに気付かない,といった学生もいました。「日本語検定」は,実社会に則した形で日本語の総合力を判定できるため,格好の教材となりました。

    また,検定合格という目標を持たせることにより,学習の動機付けもできました。

    現在は本学科全学生および他学科の希望者が受検していますが,将来的には短期大学部全学生の受検を目指しています。さらに「短期大学部学習支援室」において「日本語検定対策講座」も開設しています。

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    元大分県立芸術文化短期大学 国際文化学科 准教授

    野坂 昭雄先生

    学習の成果を日本語検定で

    本学の国際文化学科では,平成21年度に「日本語ゼミナール」という授業を開設しました。活字離れが叫ばれ,また携帯電話のメールが主要なコミュニケーション手段の一つになりつつある現在,卒業後に社会人となる学生たちに手紙やレポートの書き方,敬語の使い方などの基本的なマナーを教えることが主な目的です。また,あらゆる学習の基礎である日本語のセンスを磨けば,全般的な学習効果が期待できると考えました。

    この授業では,成績評価のための試験2回のうち,「日本語検定」に合格した学生については1回を免除することにしました。受検するかどうかはあくまで学生の自主性に任せましたが,結果的に受講者約100名のうち半数近くが受検し,ほぼ全員が資格という,目に見える形での成果を得ることができました。22年度以降も,検定の活用方法や指導方法について,学生のニーズに合わせて工夫を続けていくつもりです。

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    元比治山大学 マスコミュニケーション学科 教授
    (元中国新聞編集局次長)

    島津 邦弘先生

    新聞界から大学へ移って衝撃を受けました。「読む」「書く」「聞く」「話す」というコミュニケーションの基本が,あまりにも未熟なのです。新入生に新聞の読み方,レポートの書き方,敬語の使い方を教える羽目になって,「大学でこんなことをやっていて,本当にいいのだろうか」と心配になりました。

    そんなとき,「日本語検定」が始まりました。学生が自分のレベルを知り,さらに上級を目指す目標を持たせるため,検定はうってつけでした。3年生まで学科生全員に受検させました。「後輩には負けられない」と上級生の目の色が変わりました。

    成果を自慢できない悔しさはありますが,検定を通して学生がCHANGEするきっかけにはなっていると思います。願わくは高校で2級に合格して大学へ入っていただきたい。

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    法政大学 文学部日本文学科 教授

    尾谷 昌則先生

    「教授に質問したいけど,どう話しかけていいか分からない」と言う学生が多いので,日本語検定の問題を初めて見た時,「これだ」と思いました。年配の教授に対して正しい言葉遣いで臆せず話しかけられる学生ほど,就職も早く内定するという傾向が年々強まっています。

    コミュニケーション力が重視される現代社会では,正しく美しい言葉は大きな武器になります。良い目安と目標ができたおかげで,学生達の意識も大きく変わりつつあります。

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    デジタルハリウッド大学 教授

    高橋 光輝先生

    現代人の教養のひとつとして

    日本語は誰もが当たり前のように使用し,コミュニケーションを図る必須の手段である。これまでの教育では,初等教育から中等教育までの間で一定の成果を果たしてきたと言える。しかしながら,現代においてはその教育が充分とは言えない状況にある。まさしく社会で問題となっている読解や表現における日本語力の低下問題である。

    そのような学生は日常の当たり前のあいさつやコミュニケーションがとれない。あいさつだけでなく,活字の部分においてもメールやレポートの文章を見ても既に高校までの段階で習得するべき学習内容を理解していない。これは大学において教育を行う上で大問題である。

    その意味で,日本語検定は自らの日本語力を計れる優良な仕組みであり,諸問題解決策の一つともいえる。本学では社会人レベルの検定級の習得を実現するため,新規授業を設置し,この問題に取り組んでいる。

    文化といえる日本語のすばらしさは文学の世界や歌の歌詞の世界等,誰もが認める美しさがある。その日本語を基点とし,さらに磨きをかけて行こうとする流れこそ,文化の継承であり,わが種族の定めであるだろう。

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    岡山大学 自然科学研究科 教授

    塚本 眞也先生

    大学の工学部学生は将来,企業で製品開発業務に携わるときに,技術報告書を正確で間違いのない日本語で書く能力と,さらに研究成果を的確に伝達するためのプレゼンテーション能力が求められています。しかし,大学の工学教育として,日本語力を訓練するための体系的な教育はこれまでに実施されていません。

    そこで、岡山大学ではこの「日本語力教育」の必要性を痛感し,工学部学生を対象に平成7年から「読み,書く,話す」の基本的なコミュニケーション能力の訓練を開始しました。

    学生には「企業で仕事をするとき,間違いだらけの日本語文章で作業手順書やマニュアルを作成した場合,事故が発生して死者が出るかもしれない」ということを理解させ、日本語に対する認識を高めてきました。

    このような教育を進める中で、最近になり,「日本語検定」が語彙,言葉の意味,表記など技術者に不可欠な日本語力を訓練するための良いツールだと知り,本学の工学部学生に3級を受験させました。日本語教育を開始した当時「国語が嫌いだから,工学部へ入学したのに,なぜまた国語の授業を受けなければならないのか?」という日本語教育に反抗的だった学生にも,長年の教育で意識改革が根付き、多くの学生が受検しました。そして結果も,目標の合格率を上回ることができたのです。

    今後とも,学生の能力向上を定量的に計測できるバロメーターとして、「日本語検定」を活用させていただきたいと考えております。

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    高松大学 発達科学部子ども発達学科 准教授

    秋山 達也先生

    “先生”と呼ばれる人に正しい日本語を

    「正しい日本語を使っているのか不安」「敬語を意識すると舌を噛む」という声が学生からあがります。教員採用試験に向けての面接・模擬授業の練習をしている時のことです。教壇に立つことを意識する時期が近づくにつれ,自分の使っている日本語に対する不安は高まるようです。もちろん,学生はレポートを書いている自分に語彙が不足していることに気づき,正しい敬語が使えないことも分かっています。でも,それは漠然としたもの。本当のところどの程度の日本語運用能力であるのかを知りません。だからこそ不安なのです。

    語検では,自分の日本語運用能力の程度を学生に自覚してもらうことができます。特定の領域に限定せず総合的な力を測る点が優れています。大学での「日本語表現基礎」「国語」等の授業では語検の教材をテキストに使い,検定を受検することを勧めます。教壇に立って将来“先生”と呼ばれる人は,正しい日本語で子どもたちに接してもらいたいと思います。

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    元いわき明星大学 表現文化学科 准教授

    大橋 純一先生

    「日本語検定」受検の効用

    最近では,様々なメディアコンテンツに早くから順応してきた若者を中心に,言葉の派生や創造が盛んです。これらは言葉の乱れと受け止められがちですが,当の本人たちは,“仲間内の特殊な言葉”と割り切り,いわゆる“きちんとした言葉”も場や人に応じて使えることを自負しているように見受けられます。しかし一方,正しい(適切な)日本語とは何かを問われ,自信を持ってこうだと答えられる学生は,実はそれほど多くないというのも現状です。

    表現文化学科では,2年生を対象に「日本語検定3級」の団体受検を実施しています。教職や創作関連に関心の高い本学科生ですが,その努力目標という点においても,また自身の日本語力を測るための判断指標という意味においても,うまく機能しているように思います。学生たちは,受検を通して言葉への興味や知見を新たにするとともに,次年度にはさらに上級を目指すなど,学びの意欲を高めていることがうかがえます。

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    上越教育大学 学校教育学部 教授

    有澤 俊太郎先生

    大学生の国語力のバロメーター 教師即戦力の国語の力

    上越教育大学は,主に小中学校の教員を目指す学生が集う大学です。昨今はどの都道府県も教員採用試験が難しくて,なかなかストレートで合格することができません。そんな中でも,本学は毎年かなりの数の合格者を出すことができています。都道府県によって採用試験の倍率が異なるので単純な比較はできませんが,合格者に共通して見られるのは,一定の国語力を持っていることです。

    他者の発言を的確に理解する力,自分の考えを過不足なく表現できる力,これらはいずれも言葉を取り巻くさまざまな要因が根底をなしています。そのような前提から,私たちは,「日本語検定」に着目しました。検定は,漢字や語彙,文法といった知識の面だけではなく,状況や場面に応じた言葉・敬語の適切な使用といった運用の面にも目配りがされています。こうした検定を通じて,本学では大学生に高い国語力を身につけて欲しいと思っているのです。受検者は年を追うごとに増え,今では全学の半数をこえるまでになりました。