日本語検定委員会の審議委員として１０年以上が経過しました。この間、さまざまな検定問題に触れ、自らも解いてみましたが、さすがに上位の級には、なかなか手応えのある問題が揃っています。特に１級ともなると、一筋縄ではいかない問題の宝庫。言葉のプロでも難渋するであろう問題が少なくありません。

「一体、日本語検定のトップランナー！　１級所持者の方とは、どんな方なのだろう？！　一度お会いして、勉強法などもお伺いしたいものだ・・」と思っていました。

そんな話を事務局の方に何度かしていたある日、嬉しい「ご報告」がありました！

「梶原さん！　１級取得者のある方が、お話をしてもいいですよ、とおっしゃってくださっています。どうなさいます？！」

「ぜ、ぜひ、ぜひ会わせてください！！　ご迷惑はかけませんから！！」

横浜郊外のニュータウン、お洒落なカフェで待ち合わせました。

昼どきで大勢の家族連れの姿があるなか、ゆったりと木製の椅子にひとりおすわりの紳士。「あ、この人に違いない！」とピンときました。落ち着いた佇まい、白髪混じりの知的な趣に、なぜかわたしは「この方が1級取得者だ！　間違いない！！」と、根拠のない勘だけで判断していました。

なんと、その予感は当たりました！

梶原「あのう、日本語検定の・・」

Aさん「はい、検定事務局の方から伺っております。〇〇と申します」

そこから２時間ほど、コーヒーを３杯ほどおかわりしながらお話を伺うことができました。

その方は、現在大学で若い学生さんを教えている先生で、元々は飛行機とヘリコプターの免許を持つ全日空のパイロットの方でした！

パイロットとは技術系のお仕事で、寡黙な方というイメージがありましたが、この方は、実にお話がお上手で、もちろん話す言葉は完璧でした！

聞けば、パイロットとは、安全のため、クルーメンバーとのコミュニケーションを常に円滑にすることが求められるため、日頃から、乗り組む前も、その先も、互いにこまめに会話を交わすのだそうです。フライトに関わることはもちろん、それ以外の、いわば「和気藹々の雑談」も互いの結束を強めるため、安全運行には欠かせないのだとおっしゃっていました。

日本語検定で培われる「日本語力」「コミュニケーション力」が空の安全にも役立っていると聞き、大いに納得した次第です。

教育の現場だけでなく、医療の現場で医師と看護師間のコミュニケーションを円滑にするために、また、お客様からの注文を受けるオペレーターセンター業務のためになど、日本語検定で学び取った「機敏なコミュニケーション状況を担保する正しい日本語」を縦横に駆使して活躍する人々が日本中にいることは何よりも嬉しく、また頼もしいことです。

昨年9月から本格的にスタートさせた、オンライン話し方教室「ツタバナ」の基本も、日本語検定と同じく「他の人とのスムーズなコミュニケーションのためには、何よりも言葉の力が必要だ。」という視点に立っての事業です。

日本語検定が「コミュニケーション力等の土台になる日本語力を鍛える検定試験」で、オンライン話し方教室「ツタバナ」は「声に出して話すことで表現するコミュニケーションスキルを育て鍛える場」ということになります。

オンラインを使い、パソコンやスマホ画面を介したマンツーマンの対面で、互いの表情や仕草を目の前にして言葉を交わし、発声、滑舌から、音読、フリートーク、スピーチ、プレゼン、会議やイベントの司会に至るまで、日本語力の基本から、実践的な、仕事に即役に立つ「話し方」を手に入れていただこうというものです。

生活する上で土台となる「言葉の力」＝「日本語力」＝コミュニケーション能力を磨き上げるという点においては、日本語検定も、ツタバナも共通しています。

日本語検定を受検される皆様、ぜひ、家にいながら、オンラインの対面学習で「話し方」をグイグイ向上させるオンライン話し方教室「ツタバナ」のホームページをぜひ一度ご覧ください。

「日本語検定試験」と「ツタバナ」で、生活や学びの基盤となる「日本語力」をしっかり育てていきましょう！