「言葉」は心理セラピーで大事な道具

photo

日本親子コミュニケーション研究所

代表 
メンタルコンサルタント

藤原 真理子

メンタルコンサルタントとは

 私はメンタルコンサルタントとして、子どもや女性、特にお母さんが生きがいと自信を持ち、自分らしく輝かれるように家族関係や職場の人間関係のご相談を「心理セラピー」や「メンタルスペース心理学講座」でサポートしています。

 主に家族関係の相談をお受けしておりますが、ひとことで家族と言いましても、当然ながら同じ家族は一つもなく、同じような家族構成や環境だったとしても、違う経験と価値観をお持ちですから、求めるものやその対処方法、解決方法も同じではありません。
 私の役目は、お話をお聴きして、ご自身の内側にある本当の思いを見つけ、各々が納得できる方向への道を見つけるお手伝いをすることです。

私の仕事で大事な道具のひとつが「言葉」です

 私の仕事で大事な道具のひとつが「言葉」です。今までご相談者のお話をお聴きしてきて「言葉は心象風景をオンにするスイッチ」であり、また「言葉は、自分で自分にかけた暗示である」と感じています。

 心理セラピーで、ご相談者のお話をお聴きする際には、言葉のコミュニケーションはもちろんですが、ご相談者がお話しする言葉とそれ以外の非言語(表情、特に目の感じ、体の動きや姿勢、筋肉、呼吸、四肢の動きなど)の情報も同時に受け取ります。

 それは特別なことではなく、私たちは誰でも日常でそのようにコミュニケーションしているのですが、心理セラピーではそれを注意深く意識してお話をお聴きするのです。そうしますと、ご相談者の心の中に思い描いた景色の体験や感情、感覚によって生み出された心象風景が表れて、私もその世界に引き込まれていきます。

 私も一緒にご相談者の心象風景を体験することになります。体験することで、その方が使っている言葉の選び方、音の強弱や同じ言葉の繰り返し、また、その方が独自に捉えている言葉の意味が見えてきます。そして、そこに不一致や、しっくりしないことが表れます。

 以前、「母親」という言葉に過敏に反応するご相談者がいました。夫や子供、ご自身の親との関係すべてにストレスを感じている女性で、「母親なのだから」「母親として」という言葉に特に重いものを感じたので、私は「母」の役割について質問してみました。

 すると「母親はこうするのが当然」「良い母親にならなくては」という強い強迫観念をお持ちのようで、家族からは言葉では言われていないけれど、ご相談者の心象風景の中では、無言のプレッシャーを感じているようでした。実際にご家族がそのように思っているか否かはわかりませんが、自分の心象風景が自分にとっての現実なのです。

 仮に、家族全員から「良い母親になりなさい!」と言われたとしても、そのとおりにしなければいけないことはないのですから「良い母親にならなければいけない」と決めたのは自分自身なのです。(「良い母親とは何か」という定義も人それぞれ違いますが)

 そのようなことを質問しながら心理セラピーを行い、ご相談者は最終的に「今まで私は何を頑張ってきたのでしょう?」とおっしゃり、ご自分がかけた「良い母親像」の暗示から解放されました。

 言葉はラベルのようなものですが、その意味づけは一人ひとり違い、それがプラスの勇気にも、マイナスの呪縛にもなります。

 喜多川 泰氏の著書『賢者の書』(ディスカヴァリー・トゥエンティワン、2009年)に、次のように書かれています。

「人生は、言葉によってつくられる。その人に起こるすべての出来事は、その人が発したり、心の中で思い描いたりする言葉に起因する当然の結果に過ぎない。そして人間が一番よく聞くのは、他の誰でもない自分の言葉である。人は自らの言葉を他の誰よりも多く聞き、最も強く影響を受け、自らの言葉どおりの方向に向けようとする。そして将来には、今日自分が使った言葉どおりの人生が待っているのである。(一部抜粋)」

 言葉は、人との関係性によってもその重みが違いますし、時間も空間も超えて作用していることも考えますと、とても興味深いものです。自分の言葉の意味づけやそこにある価値観を改めて紐解くと、自分の心にかかっていた魔法が解けるかもしれません。


日本語検定は日本語の大事な拠り所

 日本語は心理セラピーでも大事な道具ですが、それだけに留まらず、日本語は日本人のアイデンティティであり、日本の文化を形作っている根幹です。そのひとつの基準である日本語検定は、変化する時代の指標としての役目も担っていると思います。多様性やグローバル化により、新しい日本語が次々と生まれていくなか、日本語検定が日本語の大事な拠り所であり続けて欲しいと願っています。

藤原 真理子(ふじわら まりこ)

メンタルコンサルタント
日本親子コミュニケーション研究所 代表
一般社団法人日本医療催眠学会 理事
第一子を出産したことをきっかけに、小さい頃に受けた親からのトラウマがフラッシュバックし、家族内で問題が次々と起こり、心身のバランスを崩す。 家族の死、離婚、シングルでの子育て、介護を同時期に経験。離婚をきっかけに自身の幼児期の愛着問題(アダルトチルドレン)など、自分の根底にあった自己否定「自分はダメだ」を徹底的に癒す。その経験で、人生は180度変えることができる!と気づき、過去の私と同じように辛い状態でいる人に「幸せになっていけるよ!」と伝えたいと心理セラピストになる。

HP https://www.oyako-commu.com/
ブログhttps://ameblo.jp/hipuno-navi