日本語力を身に付ける
~国語力の向上を目指して~
学校法人大和学園 聖セシリア小学校
教諭
光永 春奈
聖セシリア小学校は、神奈川県の中央部大和市にある創立95年の男女共学の私立小学校です。校名の「聖セシリア」は、カトリック教会の殉教者の一人で、音楽の聖人と言われています。子どもたちの学校生活は毎朝祈りと歌から始まり、祈りと歌によって終わります。朝礼が始まると、各教室から元気いっぱい朗らかに聖歌を歌う子どもたちの歌声が聞こえてきます。今日も頑張ろう!と、新しい一日が清々しく始まるのです。
さて、本学園は、幼稚園から女子高等学校までの一貫校で、カトリック教育に基づく「信じ、希望し、愛深く」を校訓としています。多様化する社会の中で、子どもたち一人一人が、自分を価値ある存在として実感すること、未来の担い手として広く社会に貢献できる力をつけること、そして、慈しみ感謝する心を育むことを大切に考えています。その土台をしっかりと作っていくことが、6年間の小学校教育に課せられていることと捉え、聖セシリア小学校では、「表現」「体験」「個を生かす」という3つのコンセプトを掲げています。
この【セシリアジュニアアカデミー(Cecilia Junior Academy:CJA)】という、校内で行っているオリジナルの放課後活動は、全部で21の講座があり、子どもたちは、自分の興味・関心に合わせて、自由に講座を組み合わせ、受講することができます。
英会話教室、体操教室、造形教室、書道教室、プログラミング教室、吹奏楽部や聖歌隊、バレエ教室やピアノレッスン、スイミング、入試対策講座など多彩で魅力的なプログラムばかりです。多くの講座の講師は、我々教員です。子どもたちそれぞれの特性をよく把握しているので、その子にあった指導をすることができますし、また、普段の授業では関わりのない教員との出会いによって新たな可能性を見出すこともできるのです。このCJAは、子どものみならず、保護者にも大変喜ばれており、実に9割以上の子どもたちが、日々、有意義な放課後の時間を過ごしています。
このCJAの講座の一つとして、表現力の向上を目指し開講しているのが、「日本語検定講座」です。7級合格を目指す1・2年生コースと、5・4級合格を目指す5・6年生コースの2つの講座を行っています。
ある日、1年生の児童に「先生、トイレ!」と話しかけられました。「先生はトイレではないよ。」と返事をしてみると、子どもたちは大爆笑。そして、「先生、トイレに行ってきます。」と、次は正しい日本語で伝えてくれました。もちろん、「先生、トイレ!」でも、じゅんぶんに意図は伝わります。ですが、「Teacher is toilet.」ではないのです。このようなやり取りは、日々の生活の中で少なくありません。子どもたちに、正しく日本語を使えるようになってほしい。これが日本語検定を取り上げた理由です。
しかしながら、目指すところはこの検定を通して、表現力を含めた日本語の力を付けることにあります。すべての学習の基礎となる国語力の土台となるのは母国語である日本語の力と考えるからです。書かれている日本語を正しく読み取らなければ、正しい思考につながりませんし、正しく日本語を使えなければ、自分の思いを正しく表現することはできません。何においてもしっかりとした土台作りによって、その上に確実な積み重ねをしていくことができるのです。子どもたちが、確実に力を付け、その力を伸ばしていくためにも、土台となる日本語の力をしっかり身に付けてほしいと思っています。
講座の時間は、子どもたちが日本語と真正面から向き合う時間となっています。日本語って、楽しい!日本語って奥が深い!漢字って、おもしろい!と、声が上がります。難しい言葉に出会うことにも、興味津々です。
日本語検定試験に取り組むことを通して正しい日本語の力を得ていくこと、豊かな表現力を身に付けることは、子どもたちにとって大切な礎になるだろうと期待しています。
光永 春奈(みつなが はるな)
学校法人大和学園 聖セシリア小学校 教諭
大学卒業後、聖セシリア小学校に勤務し19年目。19年間、担任として子どもたちと関わる。
学校法人 大和学園 聖セシリア小学校ホームページ https://www.st-cecilia-e.ed.jp/