英語を学んで気づいた日本語の魅力

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at English School Online

代表

武⽥ 梓

 学⽣時代にカナダ、ニュージーランド、ハワイ、セブ島などでの中・⻑期留学経験から英語を話せる楽しさを感じ、その楽しさをたくさんの⼦供に伝えていきたいと思い、6年前に英会話教室を開校しました。コロナ禍を経て今ではオンライン⼦ども英会話教室として教室運営を続けています。
 2022 年に公認⽇本語教師の資格を取得し⽇本語教師として⽇本語学校で外国⼈に⽇本語を教えています。英語教師、⽇本語教師としての知識から、⽇本語と英語の違いや特性を理解し両授業に反映させています。

英語を学ぶことで世界が広がる

 「英語が話せる」というだけで⾒える世界が変わってきます。

 英語が話せるようになったことで私⾃⾝が⼀番変わったことは、いろいろな国や⼈の価値観や⽂化に触れることにより、これまで「当たり前」「常識」だと思っていたことが決して当たり前ではなく、⽇本⼈あるいは個⼈にとっての「当たり前」「常識」だと気づくことができました。この感覚を体感することで、これまでとは違ったものの⾒⽅ができるようになり、視野を広げることができました。
 また、英語を使いこなせるようになれば、世界中どこへ移動するのも抵抗を感じなくなります。好きなことを学ぶために海外に出かけることも抵抗なくできるので、⾏動範囲も広がり、⾏動⼒も⾶躍的に身についたと感じています。

 今年の春には趣味であるヨガを学びにインドまでいってきました。英語を話すことに抵抗がないからこそ気軽に、外国(本場)で学びを深めるという選択ができたと思います。


外国人からみると不思議な日本語

 日本語教師として外国⼈に⽇本語を教えるようになり、⽇本語を教えることと英語を教えることの楽しさをさらに実感するとともに両⾔語の特徴や特性がよく⾒えてくるようになりました。
 ⽇本語は、「ハイコンテクスト⾔語」と⾔われていて、⽂化の共有度が⾼いので、⾔葉以外の表現に頼る⾔語なのです。⾔葉による説明が少なく、会話の際は表情の変化や声のトーン、体の動きなどの⾏間を読むことが求められ、共通認識や⽂化的背景、知識、カルチャーを前提として会話が進むのも特徴です。

 ⽇本は、同じ⼈種、同じ歴史、同じ⾔語、同じ⽂化に価値観を持っているので、同じコンテクスト(文脈)をもつ⼈が多いのです。それゆえ、話し⼿側が⾔葉足らずでも、聞き⼿側が⽂化背景などを察し、その意図まで汲み取る事ができるのです。ニュアンスを察したり、空気を読んだり、なんとなくの会話で伝わったと、曖昧な⾔葉でも成立する⽇本語は、聞き⼿側に解釈を委ねます。

 「⽇本⼈の表情は読み取りにくい」という外国⼈の⽇本⼈に対する印象を、⽇本語を学ぶ学⽣からもよく⽿にしますが、それは、日本語がハイコンテクト言語だからです。⽇本⼈同⼠にしか通⽤しないので、外国人からみるとテレパシーみたいに感じるのかもしれません。

⽇本語を外国⼈に教える難しさ

 ⽇本語教育の勉強をし始めて、最初に感じたことは「⽇本語って難しい!」「⽇本語を教えるって難しい!」でした。⽇本⼈が感覚的に習得している語学や、感覚を⽂法的に当てはめて解釈をすること、そして、簡単な⽇本語で日本語を教えることは本当に難しいのです。

 先ほども記した通り、⽇本語は曖昧な表現が⾮常に多いのです。⽇本⼈は⾃然と解釈している、この曖昧な表現を外国⼈がどう理解し解釈していくかを考えることが⽇本語を教えるうえで⾮常に重要なのです。

英語を学ぶためにも⽇本語力の土台が必要

 外国語の教授法には二つの考え⽅があります。
 一つは⺟語を習得するように外国語を習得する⽅法。もう一つは、⽂法から演繹的に習得していく⽅法です。今回はこの後者、⽂法学習を通して外国語を⾝につけていく学習法にフォーカスしてお話をしていきます。

 ⽂法学習を通して外国語を⾝につけていく学習法の効果は十歳前後から効果が現れてきます。個⼈差はありますが、徐々に⽂法を頭の中で整理し理解できていく年齢が十歳前後だと考えられています。

 ⽂法学習を通して外国語を⾝につけていく学習法には⽇本語⼒の⼟台が必要となってきます。一つ、例に挙げるとするならば⽇本語の助詞「てにをは」の理解度も英語学習にはとても重要です。⼦どもの話す⽇本語は⽂ではなく単語の羅列になりがちです。動詞だけで話が通じてしまうのが⽇本語の特徴でもあるのですが、⼦どもは特に主語や助詞を省略して話すことがよくあると思います。助詞を省略すると⽇本語はいろいろな語順で⽂章が成り⽴ってしまうのです。

 例えば、「私は⽇本語を勉強します。」という⽂を

  • 私 ⽇本語 勉強する
  • 私 勉強する ⽇本語
  • ⽇本語 私 勉強する など

 他にもパターンが色々と考えられますが、どれも何が⾔いたいかはわかります。
 ⽇本語は単語を並べるだけでもある程度は意味が通じてしまうのです。
 しかし、この感覚を英語に持ち込むことはできません。普段からできるだけ、主語、助詞をきちんと使った⽂の形式で話すように働きかけること、「てにをは」を正しく使いこなすことは⼤切だと感じています。

最後に

 ⽇本語と英語両⾔語を教えていると、「⽇本語ももっと単純に簡単な⾔語になれば外国⼈も習得しやすいのになぁ!」などと思うことが多々ありますが、曖昧で複雑で難しい⽇本語だからこその美しさを感じることも多くあります。

 昔から残る美しい⽇本語には、⾃然からインスピレーションを得て作られた⾔葉や、⼈間のさまざまな感情を粋に表した⾔葉が数多く存在します。⽇本⼈も⽇本語を学び美しい⽇本語を知ることで⽇本語の奥深さを感じることができるでしょう。

 「⽊漏れ⽇」と聞いて⽇本⼈は皆同じ⾵景を思い浮かべますし、なんだか少し暖かい気持ちになります。その時の⼼、想いも感じられるのは⽇本語の素晴らしいところです。その⾔語を私たち⽇本⼈が正しく使い、味わい、きちんと使っていくことはとても⼤切だと私は思います。

武⽥ 梓(たけだ あずさ)

at English School Online 代表

(株)mpiパートナー教室認定講師
・J-SHINE 認定講師
・公認⽇本語教師