日本語を磨く意義
~話す力も多言語対応力も手に入れよう
一般社団法人 アルバ・エデュ
代表理事
竹内 明日香
こんにちは。一般社団法人アルバ・エデュの代表をしています竹内明日香です。アルバ・エデュでは、子どもたちが「話す力」を高められるよう、一人一台端末で使えるAI組込みの対話型アプリの学校への提供に加え、教員研修、小中高大学でのプレゼンテーションや面接の指導を行っています。言葉が持つ力を最大限に引き出し、子どもたちが未来を切り拓く手助けをすることが私たちのミッションです。
正しい日本語を学ぶこととは
私自身は帰国子女で、日本語の語彙や敬語があやふやなせいで笑われた経験が多々あります。小学校4年生から慌ててこれらの日本語をキャッチアップしはじめたのですが、当時この日本語検定があれば、もっと楽に学べたのに…と思います。
そんな経験もありますので、面接指導をしていると内容は素晴らしいのに言葉遣いが惜しいケースや、逆に正しい日本語を使って大きく印象を上げている生徒・学生のいずれもが印象に残ります。前者は「させていただきます」を連発したり、「ら抜き言葉」を使ったりしている惜しい例です。
実際に、就活を終えた大学生たちが報告に来ると、正しい言葉で話していた子たちが不思議としっかり内定を獲得しているという実感があります。また私自身、金融機関で働いていた期間や現在いくつかの会社で役員をしていることを通じ、社内の報告や対外的な営業・交渉の場において言葉遣いの細かな間違いが誤解を生む恐ろしさを自他ともに経験しています。言葉をおろそかにしないことがいかに重要か、ですね。
話す力や外国語の土台として
ところで、私たちが指導している面接やプレゼンは義務教育段階から社会人に至るまで大切であるとされながら、日本人の大人の4人に3人が「人前で話すことが苦手」と感じているというデータもあります1) 。これは、公教育において「話すこと」を学ぶ機会が十分に提供されてこなかったことが大きな要因です。
この話す力は、他の言語スキル(読む・書く・聞く)と比べて脳を即座に働かせる必要があります。聞き手を前にして、敬語や文法、語彙を瞬時に選び取りながら、正確で適切に話すことは、脳の働きを活性化させ、探究する力や問題解決能力を高めるトレーニングにもなります 。また、研究によると、母語での言語能力が他の言語の習得に直接影響を与えることも明らかになっています。実際、英語が苦手な生徒の多くは、国語の基礎力が不足しているという指摘もあります。母語でのしっかりした言語能力が、母語で話すことはもちろん、他の言語を学ぶ際の土台にもなるのです。
現在、日本語検定はペーパー試験のみですが、いずれ「話す力」を試す部分を取り入れることや他の言語スキルとの関連を分析してみるのも良いのではないかと思います。人前で話すことや多言語対応していくことは、これからの社会でますます求められるスキルです。
最後に
言葉の力を磨くことは、社会でのコミュニケーションや面接の場面で必ず力になります。日本語検定は、敬語や文法、語彙、表記、言葉の意味、漢字について積み上げたりおさらいしたりできる効率的なシステムだと思います。話す力や外国語の能力は正しい日本語の上に花開きますので、それらを高めるためにも、この検定でご自身の日本語力を確認してみてください。皆さんの未来をもっと輝かせるきっかけになるはずです。
以 上
1) 株式会社 JTB コミュニケーションデザインコミュニケーション総合調査
竹内 明日香(たけうち あすか)
一般社団法人 アルバ・エデュ 代表理事
国内外の企業のプレゼンテーションを支援する傍ら、2014年に子どもの「話す力」の向上を目指す一般社団法人アルバ・エデュを設立。同社団では、6万人を超える受講者に話す力を高めるための研修、講演を行っているほか、一人一台端末で使えるAI組込みの対話型アプリの学校への提供を行っている。東京大学法学部卒業。公立小元PTA会長。二男一女の母。TOPPANホールディングス等、複数の企業で社外取締役を務める。著書に『すべての子どもに「話す力」を』(英治出版)ほか。
アルバ・エデュ ホームページ https://www.alba-edu.org/