日本語検定 3級受検のおすすめ理由と学習方法
日本語検定公認講師
服部 麻友美
1. 日本語検定3級受検を、このような方におすすめします
「日本語検定」をご存じでしょうか。日本語検定は、「日本語の総合力を測る」試験です。【敬語・文法・語彙・言葉の意味・表記・漢字】の6つの領域に加え、【総合問題】で、文章読解力や漢字などの実力を測ります。
現在、多くの大学入試(総合型選抜)で、日本語検定3級を取得していることで加点・優遇がされております。航空会社・鉄道会社なども、採用試験の際に3級を取得しているかどうか確認している場合が多いと感じております。(取得の有無をエントリーシートに記入する会社もあります)アナウンサーを志望する方にも「おすすめの資格」として紹介されております。
日本語検定は「3級」がまずは社会人としての入り口となる資格です。「3級」と聞いて、英検などと比べて「レベルが低い」と思う方も多くおいでかもしれません。ですが、「日本語検定3級」は、「高校卒業・社会人基礎レベル」と位置付けられております。3級を取得することで「社会人にふさわしい、基礎的な敬語力・語彙力・文章読解力が身についている」と大学や企業の方は判断されているかと思います。
航空会社、アナウンサーと聞いて「英語の学習が大事なのではないですか」と考える方も多くいらっしゃることでしょう。確かに英語力は必要ですが、日本の会社に勤める以上、まずは「その場にふさわしい、適切な日本語を使える」ことが大前提です。たとえば、「ヤバい」という語は広く会話で使われますが(私は使いません)、仕事の改まった場面で使うにはふさわしくないとされる考え方が一般的です。航空会社の客室乗務員の方が、緊急事態の際に「お客様、ヤバい、逃げて!」と言うわけにはいきません。また、テレビでアナウンサーの方が「今日はヤバい暑さですね」と呼びかけたら、視聴者はどう思うでしょうか。こういった言葉遣いをしている社員を見ると、多くの方は「そのような社員を平然と勤務させている、会社が問題だ」と思うのではないでしょうか。(ちなみに、外資系航空会社に勤務経験のある方から聞きましたが、「一機の飛行機で乗務する日本人客室乗務員が1名」ということも珍しくなかったそうです。その方は「日本代表、という気持ちで言葉遣いに細心の注意を払い、おもてなしをしていた」とおっしゃっていました。この場合も、外国語の能力はもちろんですが、その場にふさわしい、適切な日本語力が必須ですね)
実際に、日本語検定3級を取得しておらず、航空会社に内定を受けた方が、内定式で「私がおっしゃいました通り」と言ったり、新人研修で「『やばい』の敬語を教えてください」と言ったりした話を、私は聞いたことがあります。日本語検定3級を取得していれば、これらのような残念な例は防げたのではないでしょうか。(それぞれ「私が申しました通り」、また、「ヤバい」の敬語はありませんので、たとえば、「ヤバい暑さ」ではなく、「今日は大変暑いですね」「今日は大変お暑うございます」など、その場にふさわしい言葉選びが必要です)
また、各都道府県の教育委員会が実施する教員採用試験でも、例年、日本語検定との類似問題が多く出題されています。
ですので、日本語検定3級は、以下のような方に受検をおすすめします。
2. 日本語検定3級の学習方法
日本語検定3級は、【敬語・文法・語彙・言葉の意味・表記・漢字】の各領域と【総合問題】が出題されます。全体の得点率が70%以上で【3級認定】となります。このうち、【表記・漢字】に関しては手書き問題が出題されます。3級の場合、他の問題は全て選択問題です。
問題の出題傾向を知るためには、『日本語検定 公式過去問題集 3級』を使用されると便利です。昨年度の問題が2回分、そのまま掲載されておりますので、時間を測って問題を解くことをおすすめします。解き終わったら、領域別の正解数を比較して、苦手な領域から学習を始めると効果的です。
領域別の学習には、『日本語検定 公式練習問題集 3級』を使うと良いと思います。領域ごとに問題が掲載されておりますので、自分の苦手分野を繰り返し学習できます。
【語彙・言葉の意味・表記・漢字】に関しては、『日本語検定必修単語集 3級』を使用することが合格への近道です。私が日本語検定の学習を指導していて感じることは、「漢字練習に真面目に取り組む」学生、「ことわざ・慣用句などの言葉の意味をコツコツと覚える」学生が、必ずと言ってよいほど合格しているということです。逆に言うと、「漢字練習で手を抜いた」「ことわざ・慣用句が分からなくても勉強せず、あまり手を付けなかった」学生は、ほぼ例外なく不合格になっています。【表記】では、今まで同音異義語が5問程度出題されることが一般的でした。ですので、同音異義語が苦手な方は、学習しておくことをおすすめします。
なお、『日本語検定必修単語集 3級』にも掲載されておりますが、日常で広く使われるカタカナ語も最近は出題されております。苦手な方は早めに確認すると良いと思います。
なお、【敬語】【文法】に関しては、問題集に解説もついておりますが、文化庁が公開している動画「敬語おもしろ相談室」が大変参考になります。(公式に敬語の基準を定めているのは文化庁です)
基本から学習したい場合、長らく日本語検定の審議委員を務められた、梶原しげる氏の書籍をおすすめします。『敬語力の基本 肝心なところは、だれも教えてくれない72のテクニック』(日本実業出版社・電子版あり)
また、日本語検定委員会研究主幹を務められた、川本信幹氏のWEB連載「その日本語、相手を不快にします」もおすすめします。連載は古いものが下に載っておりますので、下から順に読まれると良いと思います。
敬語では、例えば「お客様がお帰りになられます」「発表させていただきます」などの内容は、現代の敬語としては不適切だとされています。それぞれ「お客様がお帰りになります(お帰りです)」「発表いたします」とします。
【総合問題】は、文章読解力が主に問われる内容です。新聞のコラム、気になる会社の記事などを読み、要点を正しく理解出来ていれば良いと思います。
いかがでしょうか。学習にはもちろん努力が必要ですが、私は、指導してきた多くの学生たちが、「日本語検定の学習を通して、社会人にふさわしい敬語や語彙、文章読解力を身につけ、自信をもって日常生活を送り、その延長線上にある就職活動に挑み、志望する企業の内定をいただいてきた」例を多数見てきました。敬語、文法、語彙、読解力を同時に身につけられるのは日本語検定だけです。ぜひ、多くの方に日本語検定3級に挑戦し、同じように自信を持てるようになっていただければ、と願っております。
服部 麻友美(はっとり まゆみ)
日本語検定公認講師
学習院大学人文科学研究科日本語日本文学専攻博士前期課程修了。(修士)
中学校・高等学校国語科専修免許取得。
日本語検定1級取得、日本語検定公認講師。
指導学生の団体表彰受賞回数、約10回。
中学校・高等学校国語科教員としてのキャリアを土台に、専門学校・大学等で日本語検定に関する科目、文章表現に関する科目などを指導する。
日本語検定公認講師として、企業での研修講師も務める。