「にほごんdeぬい撮り」
はじめました
十文字学園女子大学 教育人文学部 文芸文化学科
教授
星野 祐子
「好きを究めて、好きを活かす」―それは、日々の教育活動で意識していることの一つであり、所属学科のコンセプトです。さらに、女子大学の存在意義が改めて問われている今、その環境を最大限に活かした学びを展開することを常々考えています。

十文字学園女子大学は2022年に創立100年を迎えました。創立以来、心身ともに健やかで、自分らしい生き方で社会に貢献する女性の育成に努めてきました。また、私が所属する文芸文化学科は、ことばや文学・文化の学びを基盤にしながら、表現力や創造力を養うカリキュラムを展開しています。その学びの基盤となるのが、確かな日本語運用能力の養成です。本学では、2010年より日本語検定の団体受検を始め、学科の1年次必修科目「日本語基礎」では、日本語検定3級に準拠した学習を行っています。
ちなみに、「日本語基礎」で使用するテキストは『新訂ステップアップ日本語講座 中級』(日本語検定委員会編)で、その表紙は学科のオリジナル。日本語検定公式キャラクター「にほごん」、本学のマスコットキャラクター「プラスちゃん」、大学が位置する新座市のイメージキャラクター「ゾウキリン」が登場します。そんな、愛らしい3体が並ぶ表紙は「かわいい」と学生たちにも好評です。
ここで、学科のコンセプトである「好きを究めて、好きを活かす」に話を戻します。目の前には「にほごん」のマスコットと「プラスちゃん」のマスコット……。「かわいいだけじゃだめですか?」と問われたら、「かわいい」だけでもよいのでしょうけど、せっかくならば「かわいい」を活かしたい!―そんな想いを形にしたのが「にほごんdeぬい撮り」です。
「にほごんdeぬい撮り」は、「にほごん」のキーチェーンマスコット(手のひらサイズのぬいぐるみ)と、ドールハウス・ミニチュアの雑貨を使って、ことわざ・四字熟語・故事成語などを表現する活動です。現在、「にほごん」のSNS(X)で連載いただいています。担当は、日本語学ゼミの3年生(愛称:にほんご探検隊☆)で、まさに、学生の「好き」を活かした活動となりました。キャラクターが好き、写真を撮るのが趣味、幼い頃にドールハウスで遊んだ……そんな学生の趣味や経験を、思う存分ゼミ活動に活かすことができています。

「にほごんdeぬい撮り」の活動に際しては、想像力と創造力が求められます。ぬいぐるみを使いますので、「にほごん」の表情は変わりませんし、手足のポジションを変化させることもできません。そうした条件のもと、学生たちは、撮影の角度を調整したり、「にほごん」に持たせるアイテムを工夫したりしながら、ことばを創っていきます。その過程には、試行錯誤しながら協働して学びを創っていく、ゼミ活動として理想の姿も見受けられました。
さらに、活動が軌道に乗り始めると、学生たちが、自ら進んで、ことわざ辞典や慣用表現辞典を手にし、取り上げることばを増やしていきました。「にほごん」らしさが感じられることば、子どもたちに知ってもらいたいことば……それぞれテーマを設定し、「ぬい撮り」に励みます。現在は、写真1枚でことばを伝える活動が中心ですが、今後は、コマ撮りアニメーションに挑戦したいとか、ことばの学習につながる謎解きを考えてみたいとか、「にほごん」を活用した学びの構想は、豊かに広がっていきます。
また、個人的には、小学生向けに、ことばに親しむワークショップを開催したいと考えています。「にほごん」のマスコットを用いて、日本語に親しみ、語彙を増やすワークショップです。ゼミ生の多くは一般就職を希望し、教職に就くわけではありませんが、相手に合わせてことばを使い分ける力は、どんな進路を選ぼうとも必須です。本学は社会連携活動・地域連携活動にも力を入れていますので、「出張!にほごんdeぬい撮り」を、いつか開催できることを期待しています。
今後も、「かわいい」や「好き」を「ことば」と関連づけながら、社会に活かしていくことを大切に、本学らしい学びを模索してまいります。
皆さまにも、「にほごん」のSNS(X)を訪れていただけると幸いです。

星野 祐子(ほしの ゆうこ)
十文字学園女子大学教育人文学部文芸文化学科教授。2009年お茶の水女子大学大学院人間文化研究科国際日本学専攻単位取得退学。2010年博士(人文科学)。専門分野は日本語学(文章・談話・文体研究)。著書に『ここからはじまる文章・談話』(ひつじ書房・共著)、『学生のための言語表現法』(暁印書館・共著)など。
2022年より、日本語検定委員会研究委員。
■文芸文化学科HP https://www.jumonji-u.ac.jp/humanities/culture/
■「にほごん」X https://x.com/NihogonOfficial