誰が正しい日本語を守る?
あなたは普段から正しい日本語をしゃべっている自信がありますか?「自分は日本人なんだし、普通に社会生活はできているので」「厳しく言語学者みたいな細かいことまで言われたら別だけど、とりあえずは大丈夫かと」といった方が大半かと思います。では「正しい日本語を日々守って後進に指導しているのは誰でしょう?」の答えはどうでしょう?小学校の国語の先生?いや、中学校の国語の先生??大学の国文学の教授??どれも間違いではないかとは思いますが、120% の答えではないでしょう。私の思う答えはアナウンサーです。
アナウンサーを目指し専門学校へ
雪深い富山の田舎で生まれ育ち東京の理工系単科大学に進学した私は、大学4年生の研究室所属の直前になって胸に手を当て「自分はどんな職業に就きたいんだ?」と考えた時に、子供のころから夢だったアナウンサー試験を受けたいという気持ちを抑えきれなくなりました。受けるからには記念受験では意味がありません、方言やアクセントの違いも不安だらけです。インターネットも無い時代でしたが、人づてでアナウンス学校という物の存在を知り、大学を1 年間自主留年して通うという、今考えてもとても重い決断をしました。
カルチャーショック
アナウンス学校での日々は刺激的で充実していました。授業は週に1 回90分しかありませんので、毎週それだけ出て満足していては全く足らず、どれだけ自主トレーニングをするかが分かれ道と先生に教わります。20人ほどのクラスでしたので、先生に当てられて自分が声を出すのは1回の授業で5 分もありません。習った項目をいかに復唱し、さらに応用を自分で考えて実行するかで勝負が決まります。自主留年した大学の授業料もアナウンス学校の授業料も自ら稼いだアルバイト代を充てていたので、1コマ1コマが真剣でした。
衝撃の自主トレルーム
アナウンス学校には自主トレーニングルームというものがあります。先生に諭されるままに恐る恐る初めて訪れた初日は衝撃的でした。壁に向かって集中して大声で発声練習している人、椅子に座って原稿を手に持って「ニュースです」と落ち着き払って読んでいる人、当時は珍しかったビデオデッキで野球の試合を流しながら画面を見て架空実況している人、あまりにもレベルが自分と違うので大きなショックを受けました。完全に場に飲まれながらも教則本を読み上げて練習していると「この部屋は初めてかな?もっと自信を持った方が良いよ」と声をかけてもらいました。
暗黙のルール
何度か通ううちに知り合いも増え、練習後に一緒に飲みに行く機会も増えました。基本的には地方出身者も多く、お互いに指摘しあうことは暗黙のルールです。例えば食事に使う「箸」のアクセントは頭高ですが、富山弁では平板なのです。楽しく飲んで会話をしている時にでもひとたび間違えると、会話が一瞬にして止まり一斉に全員から指をさされて指摘されます。もちろん反発などするわけもなく「ありがとう!」と指摘してくれたことに感謝です。どんな授業よりこれが一番効きました。
アクセント
富山弁のアクセントはメジャーな関西弁や博多弁などとも違い独特な抑揚もあります。初めて上京した大学1 年時は、地方出身者と悟られないように細心の注意を払いながら口数も少なめでした。しかしアナウンス学校に通い始めたからには徹底的に直すしかありません、「アクセント辞典を覚えたページから破って食べた」などという先輩の伝説も聞かされ英単語を一つ一つ覚えるように学んでいきました。なぜ自分は地方に生まれてしまったんだと、東京出身の仲間をうらやましく思ったことも何度もありました。
鼻濁音と無声化
アナウンス学校では特にアクセントを習わなくてはと意気込んでいましたが、他にも学ぶことが沢山あります。その一つが鼻濁音でした。例えばおとぎ話に出てくる白いきつねは「銀狐」と書きますが、発声すると「ぎんぎつね」の2つの「ぎ」は発音が違います。もう1つ無声化もあります。これも例えば「企画」は「きかく」と発生しますが「き」の発声は声帯を震わせない発音をしなくてはなりません。幸い双方とも私はあまり悩むことはありませんでしたが、ちょっと気を許すと間違えることがあります。これも徹底的にルールを学びアクセント辞典を引いて直しました。
漢字の読み方のゆらぎ
理工系単科大学に在籍していることで漢字の読み書きに関しては文系大学の方に強烈な引け目がありました。難読漢字問題集なるものを購入して勉強しましたが、むやみに難しくて日常生活では絶対に使わないと思われる物が多すぎると判断し、問題集を選び直して学んだことは我ながら良かったと思います。一方で例えば「早急」という熟語の読みは、昔は「さっきゅう」しかなかったはずです。それが「そうきゅう」と慣用的に発音する人が増えてきた、どんどん増えてきた、では「そうきゅう」も認めましょうとなりました。言葉は生きています、時代とともに変わっていることも学びました。
まさかのキー局アナウンサーに合格
肝心の就職試験では、第一志望だった地元富山の放送局を受ける前に“ 度胸試し”で受けたキー局のアナウンサーに合格してしまいました(しかも地元富山に系列局がないテレビ朝日でした)。1年間以上のアナウンス学校での特訓の成果もあり、入社後の3カ月の新人研修も一つ一つ確認しながら受けるスタンスとなり、しっかりと吸収していけました。そんな中、ある一人の先輩講師から「アナウンサーは正しい日本語を守る最後の砦です。その責任があります。」と言われたのです。
日本の教育における日本語
確かに小中学校の国語の時間では、アクセントや鼻濁音、無声化についての指導が十分に行われているとは言えません。敬語に関しては「尊敬・謙譲・丁寧」という三つの内容は学びますが、割かれる時間は少なく受験などにも出される可能性は皆無に近く、軽視されていると言わざるを得ません。その結果、ら抜き言葉などに代表されるようにどんどんと正しい日本語が変わっていき、使う人が多いからという理由で市民権を得ていきます。真剣に時間をかけて日本語を学んだ私としては複雑な気持ちでした。
正しい日本語を守る責任
私がアナウンサーになったのは今から約40年前です。その時先輩講師に言われたのは「普段生活している人にとって、今や日常的に正しい日本語を聞く機会はテレビやラジオのアナウンサーしかありません。その責任があります。ただし日本語は時代に合わせて在野の言葉を受けて変わっていく、変わるのは仕方がありませんが、私たちはその最後に変わりましょう」と言われたのがストンと胸に落ちました。
「日本語検定」
英語には「TOEIC」、漢字には「漢字検定」というものがあり、一定の社会評価の基準として使われています。日本語にはそういったものがないのかと思っていたら、ありました。「日本語検定」です。もちろんまだまだ社会評価の一環として例えば入社試験の資格として扱われるほどではありませんが、まずは自分の腕試しとして参加されることをお勧めします。インバウンドの時代、訪日外国人や自分が海外に行った時に使う日本語はやはり美しい日本語であってほしいのです。新規に外国語を学ぶのは大きな決断がいりますが日本語を学ぶのですから気軽に入れるのも魅力です。是非お試しください。

取締役 副社長執行役員CHRO 坂井 和則
TOPPANグループは、大蔵省印刷局の3人の技師たちが「エルヘート凸版法」という当時最先端の印刷技術を用いて社会・文化の発展に貢献することを目指して設立した、いわゆる「技術ベンチャー企業」です。世の中の様々な課題解決を通じ、社会的価値創造に挑戦してきた歴史があり、「イノベーション創出」は当社グループの創業以来のDNAです。こうした背景のもと、当社グループは、「人財」を会社の価値を生み出す貴重な財産、すなわち「人的資本」と捉えてきました。その価値を最大限に引き出すことで生まれる「人によるイノベーション」が事業成長の源泉であり、人財を大切にし、活かす経営、つまり「人間尊重の経営」を貫いてきました。
「人によるイノベーション」を生み出すためには、目の前の課題を正確に捉え、社会や顧客のニーズに応える力が欠かせません。企業は単にモノやサービスを提供するだけではなく、課題の本質は何か、求められているものは何か、などを考えることが重要です。その出発点となるのが、相手の声に真摯に耳を傾ける「傾聴力」と、多種多様な人たちと信頼関係を築きながら円滑に連携する「コミュニケーション力」です。お客さまとの対話を重ねながら課題の本質を考え、解決に向けて粘り強く取り組むことで、社会や顧客が求めるソリューションを提供することができます。そのために重要なのが、優れた日本語力です。優れた日本語力は、単に言葉を正しく使うだけでなく、論理的に考えを整理し、相手に伝える力を高める基盤となります。ビジネスの現場では、報告書やプレゼン資料、メールや会議での発言など、あらゆる場面において明瞭かつ説得力のある表現が求められます。的確な表現は、信頼の獲得や業務の円滑な遂行にもつながってきます。
そこで、TOPPANグループでは、従業員一人ひとりの日本語力向上を支援する取り組みとして、日本語検定の受検を推奨しています。日本語検定は、語彙力や文法力、論理的な表現力などを客観的に評価できる指標であり、業務に直結するコミュニケーション能力の向上を図ることができます。今後も従業員の成長を支える基盤として、日本語力の強化を重要な人的資本投資の一つと位置づけ、継続的な学びの機会を提供していきます。
最後に、言葉はすべてのコミュニケーションのはじまりであり、相手に信頼される力、そして自分を成長させる力でもあります。日本語検定によって「確かな日本語力」を身につけ、更なる自己成長を目指していただきたいと思います。

東京本社教育ネットワーク事務局長 兼 活字文化推進会議事務局長 新庄 秀規
もし、言葉がなかったら。果たして思考は成り立つのか。そもそも自身の感情はどんな風になるのか。音楽やスポーツは生まれるのか……。ただ、私たちはすでに言葉がある世界にいます。他者との対話の道具として、自分の心に突きつける刃として、自由に言葉を使っています。いにしえの書物から過去の考えを学んだり、未来人に警告を放ったりすることもできます。
長年、新聞記者という立場で言葉に関わってきました。今回はその経験も踏まえ、「日本語力」というものの正体に迫ってみます。
まずは、日本語力をざっくりと「日本語でコミュニケーションを取る能力」と定義します。コミュニケーションには二つの局面があります。一つは他者が何を言っているのかを理解する局面。もう一つは、他者に物事を伝える局面です。
大学で専門的な学問をスタートさせた時、さまざまな新しい言葉に出会ったと思います。言葉の字面だけを追っていると、もれなく睡魔も襲って来たあの経験。言葉の背景にある概念をしっかりとらえないとついて行けなかったと思います。
社会人になっても、それは同じです。私の記者生活は、警察取材から始まりましたが、現場では専門用語がたくさん飛び交っていました。コロシ(殺人事件)、ホシ(容疑者)くらいは、TVドラマで聞いたことはありましたが、サンズイ、ゴンベン……? 縁もゆかりもない地方支局で、慣れない方言を相手にするだけでなく、こうした言葉とも格闘する毎日でした。
ただ、業界について書かれた本を読んで知識をつけ、多くの人と会話をして語彙を増やしていくと、自分の世界が少しずつ広がっていきました。
相手の言っていることを理解すると、いよいよ次の伝える局面に移ります。ここでは、新しい言葉を覚えた感動を捨てる勇気も必要です。サンズイが汚職事件を示し、ゴンベンが詐欺事件を表すことが分かったとしても、その言葉を新聞記事で見ないのはなぜでしょう?業界用語を覚えると、ついついうれしくて他人にも話したくなるのですが、伝わらなくては無意味です。相手に自分の知識や語彙力を誇るのは悪手なのです。
最後に気をつけたいのが、自分の理解と伝え方に勘違いや思い込みがないかどうかです。自分の間違った知識が介在することで、情報が曲がっていく。仲間うちでやる遊びの伝言ゲームなら楽しい思い出ですみますが、実社会では深刻な問題に拡大することがあります。SNSの問題もしかりです。
真の日本語力とは、語彙などの知識ではなく、他者としっかりコミュニケーションが取れるかという点につきます。本を読んだり人と会話をしたりして、常に自身の日本語力をチェックしていくことを心がけたいと思います。

東京支社 土江 智美
ローカル局の現場
タイトルに「テレビ局」と書きましたが、千葉テレビ放送(通称:チバテレ)は皆さんが思い浮かべるテレビ局(=在京局・キー局)とは少し違います。キー局の系列に属さない、いわゆる独立局で、社員数は70人程度とかなり小規模。しかし、24時間365日番組を放送しているため、社員一人ひとりが部署の垣根を超えて「なんでも屋」でなくてはいけません。私は、長年営業部に所属し、広告主や広告代理店などに日々、CM・番組・イベント・プロポーザルなど様々な提案・交渉を行っています。企画書を書いたり、撮影現場へ行ったりするのはもちろんのこと、時に番組の台本を書くことや、放送内容に問題がないか考査をすることもあります。そう、私の毎日は「言葉」=「日本語」に溢れています。
見えない価値を言語化
テレビ営業のキホンのキは、放送枠の販売。テレビコマーシャルがわかりやすい例ですが、15秒、30秒、60秒、5分・・・といった目には見えない、時間をセールスしています。そこで、番組の影響力・視聴者の属性・ブランドイメージとの親和性などを言葉によって「見える化」し、その価値を相手に伝わる形に変換する力が欠かせません。テレビ局の営業にとって、日本語力は武器であり、信頼を築くためのツールです。
番組づくりは「言葉」から。チームをつなぐ日本語力
テレビの仕事は社内外、多くの人が関わるチームによって出来上がります。例えば、私がプロデューサーを務める「旅番組」では、ディレクター、AD、カメラ、音声、編集、ナレーター、それにタレントなどがいます。さらに、社内でも、編成、広報、CM管理などあげたらキリがないほどです。いろいろな立場の人の思いをくみ取った上で、良い番組を制作するために必要なのが、日本語力です。
しかし、現実には日々直面するのが“ 広告主側の要望” VS “ 制作側のこだわり”です。広告主側はPR 色を希望する一方、制作側は番組の世界観やクオリティを探求します。そこで営業が双方の調整役として、言葉の翻訳者になる必要があります。双方の意見を聞いてまとめる、日本語コミュニケーション力を日々意識しています。
テレビ局にとっての日本語
最後に、テレビは、視聴者に情報や感動、笑い、気づきを「伝える」メディアです。映像と共に、伝達手段の中心にあるのが言葉である日本語です。ナレーションでどう表現するか、どんな言葉をテロップにするかなど、常に「視聴者にどう伝わるか」を意識した日本語選びが求められます。そして視聴者は年齢や職業も様々なので、「誰にでもわかりやすい」表現が求められるのです。

代表取締役社長 小守 孝英
エンジニアと日本語
当社は創業以来、一貫して企業向けのシステム開発を事業にしてまいりました。開発するのは「基幹システム」と呼ばれる、会計や人事、さまざまな管理など、その企業の中核となる業務を支えるシステムが中心です。そして、システム開発に携わるのが、システムエンジニアです。
システムエンジニアにとって、正確な日本語を読み書きする力は、単なる言語能力ではなく、業務品質を支える実務能力です。業界の外の方にしてみれば、システムエンジニアは、アルファベットや記号が並んだコードばかり書いているように思われるかもしれませんが、実際はそうではありません。設計書や議事録、報告書、説明資料、メールなど、日本語の文章を書く機会は日常的にたくさんあります。その際に書いた文章によっては、書き手と読み手の解釈に差が生じ、誤解やトラブルを招くことがあります。
文章がトラブルを招く
たとえば、メールに「本日中に対応が必要な不具合についての報告」と書かれていた場合、何が「本日中」なのでしょうか。書き手は対応が急ぎであることを伝えたい一方で、読み手は報告が急ぎであると受け取るかもしれません。その結果、対応が遅れ、ユーザーからのクレームに発展してしまうかもしれません。
また、ある設計書に「ユーザーがログイン後に、必要な情報を入力した場合、管理者が承認処理を行うと、登録が完了する仕組みであるが、承認が不要なケースもあるため、システム側で自動承認の条件分岐を設ける」と書かれていたとします。よく読めば理解できます。しかし、一文に多くの内容を詰め込み過ぎて、分かりやすいとはいえず、誤解の元になりかねません。
このように、文章次第で、正確な意図を知るための余計なやりとりが発生したり、誤解があるまま開発が進行したりすることがあり得ます。これらは、生産性の低下や不具合の増加に繫がります。つまり、文章力は、業務品質に直結する能力だといえます。日本語の使い方ひとつで、業務全体の効率や信頼性が大きく左右される。わたしたちはそう考えています。
良いシステムは良い文章から
当社では、明確で分かりやすく、書き手の意図が読み手に伝わる文章を「良い文章」と捉えています。そして、良い文章を書くことにより、①生産性の向上、②品質の維持、③知識共有の円滑化、④顧客からの信頼の獲得が実現できると考えています。そのため、社員に対する日本語教育にも力を入れています。
これからも、良い文章から生まれる良いシステムをご提供することで、微力ながら社会に貢献してまいります。

総務部 飯田 剛
あなたの肌のために
「ひとりのご婦人の手荒れをなんとかしたい」そんな想いがユースキン製薬のはじまりです。「ユースキン」という名前は「あなた(you)の肌(skin)のために」という意味が込められています。おかげさまで1955年の創業から、ハンドクリームを中心に製造・販売を手掛け70年を迎えました。現在、当社はすこやかな肌を育み、暮らしにうるおいをもたらす「肌育」の活動を通じて、「いつか、肌に悩みを持つ人がいなくなる、その日」を目指してスキンケアへの取り組みを行っています。
お客様との「対話」
お客様の肌悩みに寄り添いながらモノづくりを続けてきた当社では、あらゆる場面において、お客様との対話を大切にしてきました。製品付属のアンケートはがきに手書きでコメントして頂いた方や手書きのお手紙を頂いた方には、手書きでお礼の返事を差し上げることを現在でも続けています。また、社員とお客様との交流会を定期的に開催し、直接の会話を通じて感謝の気持ちをお伝えしています。手書きや対面での会話で感謝の気持ちを表現することにより、お客様への誠実な対応や信頼に繋がると思っております。そのような意味でも、当社では日本語で、より正確に心をこめて表現することは、企業イメージとしても大切な要素です。
全社員で受検
最近はPCやスマホがあれば多くのことは解決する便利な時代になりました。そのため、読書や新聞を読む機会も減り、ますます活字離れが加速していくことが予想されます。当社においても、特に若手社員の活字離れの不安から、「社会人として相応しい日本語を使用できているか」ということは心配の種でもありました。また、若手社員に限らず、近年では、多くの社員が「漢字が書けなくなっている」と実感しているようです。そこで、2年前の11月10日(ハンドクリームの日:いい手)に、日本語コミュニケーション能力向上の意識付けを目的に、日本語検定2級を団体受検しました。役員も含め全社員(5拠点、約110 人)で同時受検しました。ほとんどの社員が久々に味わう真剣モードの試験でした。当社では、合格ラインを準2級認定に設定し、2級・準2級に認定されなかった場合、次年度に再挑戦することにしています。今年は3回目の受検となり、全員の合格を期待しています。
今日でも必要な日本語力
上述のようにお客様との関係性の向上はもちろん、社内や社会生活全般における円滑なコミュニケーションや意思疎通のためにも日本語力の維持・向上は欠かせないものであると思っています。あらためて一人ひとりが日本固有の文化を大切に守って行きたいものです。

人事部 土屋 朋津
豊橋信用金庫は、お客様の大事な資産(お金)を預かり、地域の皆様に融資として必要な資金を供給するだけでなく、生活の様々な場面で金融サービスを提案できる企業を目指しています。
信用金庫の仕事は、人と人との信頼関係の上に成り立っています。デジタル化が進む現代においても、地域の皆さまと“Face to Face”(対面)で向き合う姿勢は変わりません。このような仕事の中で、私達に求められるものが、「伝わる日本語」や「信頼を生む言葉遣い」であると考えています。
地域金融機関として私達は、お客様と会話を重ねていく中で、課題や悩みを傾聴し、解決に向けて寄り添うことが、信頼を積み重ねていく最善の方法と考えています。このことから、窓口での応対やお客様への訪問時には、分かりやすい表現や丁寧な日本語での説明は欠かすことができません。お客様からの問い合わせに対する回答や、融資に関するアドバイスなど、正しい日本語を使うことで、より安心感を与えることが重要です。誤解を招くことのない言葉選びや分かりやすい説明は信頼関係を深めます。こうした積み重ねが、お客様にとって「寄り添ってくれる金庫」という印象を与え、信頼を得る大きな要素となります。
昨今、スマートフォンやSNS の普及により、コミュニケーションのスタイルは大きく変化し、対面での会話の機会が減少しつつあります。このような中、実際に会って「話す」ことが持つ意味は大きいものであり、表情や声のトーンといった「伝え方」を意識することが、お客様との深い関係を築く鍵になっています。
日本語検定は、社会人としての基本的な日本語スキルを確認するための試験です。日々の業務において、顧客対応や書類作成、電話応対など、様々な場面で活かされています。職員は、個々のお客様に合わせた丁寧で分かりやすい説明を行い、相手に信頼感を与えることが求められます。そのため、日本語検定は、お客様との信頼関係を深めることに役立っており、円滑な業務運営に繋がっています。
当金庫では、日本語能力の習得、およびビジネススキル向上の一環として、日本語検定が創設された2007 年の翌年から、毎年11月に開催される試験に、新入職員および金庫内の受検希望者を募集し受検しています。日本語検定は、単なる資格取得に留まらず、敬語や言葉の使い方、表現力を正しく理解し、適切な言葉遣いを習得することができます。改めて正しい日本語を学ぶことで、ビジネスシーンや日常生活での対話力が向上し、相手に良い印象を与えることが可能です。
金庫職員にとって、日本語検定は正しい日本語の使い方をあらためて気づかせてもらえる良い機会になっています。今後も正しい日本語を学び、人間関係の構築に繋がることを期待しています。