随時更新中!レフト鈴木の日本語お笑い道場

photo

先日友人と飲みに行った帰りに見かけた、ある飲食店のメニューに「辛党の方にオススメ!激辛カレーライス!」と書いてありました。『新明解国語辞典(三省堂)』によると「辛党(からとう)」という言葉の意味は「辛いものが好きな人」ではなく、「酒を好んで飲む人」だそうです。

なので、このメニューを書かれた方は誤って解釈しているのかもしれないなと思いました。

しかし、辛いものを食べながらお酒を飲むこともありますし、むしろ個人的には良い組み合わせだと思います。そう考えると、このメニューに書いてある文章が一概に間違っているとも言い切れません。

日本語はまだまだ奥が深いなと思いながら店に入って、そのカレーライスを注文してみました。すると、これが予想以上の辛さで、そこから先は酒ではなく水ばかり飲んでいたので、すっかり酔いが冷めてしまいました。やはり、このカレーライスは「辛党」ではなく、「辛いものが好きな人」もしくは「カレーライス党(そんな言葉はありませんが)」に薦めてほしいと思いました。

それでは今回も、このように誤用されることが多い言葉の本来の意味をご説明し、その言葉の面白い使用例を紹介していこうと思います!

題して「正しい意味で使ってみよう!」

「気が置けない」

〜気を許して付き合うことができる様子〜

------------

刑事 「お前は完全に包囲されている!大人しく出て来い!」
犯人 「うるせえ!早く逃走用の車と金を用意しろ!」
刑事 「俺たちの言うことなんて少しも心に響かないようだな!実は今日は、お前を説得するために、ある人に来てもらっているんだよ!」
犯人 「ある人?まさか田舎のお袋?それともカミさんか?あ、もしかして親友の和幸か!?」
刑事 「お前の父方の叔父さんの会社の同僚の弟さんの高校の時の同級生のいとこの高橋さんだ!」
高橋 「あ、どうも初めまして。籠城なんかやめて早く出て来た方がいいと思いますよ」
犯人 「いや、誰だよ!もっと気が置けない人を連れて来いよ!」

------------

「気が許せない」、「油断できない」等といった意味で誤用されることが多いこの言葉。実は全く逆の意味だったんですね。

それにしても、大事な犯人の説得役に、初対面の人を選ぶなんて、随分ポンコツな刑事さんですね。引き受けた高橋さんもどうかと思いますが。

「たそがれる」

〜日が暮れて夕方になる〜

------------

田中 「たまには片桐も飲みに誘ってやろうぜ。トゥルルル」
片桐 「ふわぁ~あ。もしもし?」
田中 「うっす!田中だけど!ていうか、もしかして今起きたのか?もう午後6時だぞ!」
片桐 「え!午後6時!?マジかよ!…今日は随分早起きしちゃったな!」
田中 「いや、早くないよ!いつも何時に寝てるんだよ!せめてたそがれる前に起きろよ!」

------------

「彼は一人でたそがれている」のように、「物思いにふけること」といった意味での誤用が多いこの言葉。実は全く別の意味の言葉だったんですね。

昔は道に街灯もなく、暗くなると前から歩いてくる人の顔の区別もつかなくなるので、「誰(た)そ彼(かれ)」と言ったことからできた言葉だそうです。

僕もどちらかといえば夜型ですが、流石に片桐のようにたそがれるまで寝ていたことは一度もない…はずです。

「役不足(やくぶそく)」

〜割り当てられた役目がその人の能力と比べて軽すぎること。〜

------------

博士 「ハハハ!とんでもないロボットを作ってしまったぞ!このロボットは時速200㎞で走り、マッハ10で空を飛び、握力も50tある上に、ソーラーバッテリーだから充電の必要もないのだ!このロボットを使って世界征服だ!ガハハ!」
ロボット 「ご主人様。まずは何から始めましょうか?とりあえず隣町でも破壊いたしましょうか?」
博士 「そうだな~。とりあえず…トイレ掃除と洗濯だ!あ、あとコーヒー入れて!」
ロボット 「それは自分でやれよ!俺には役不足だわ!」

------------

「本人の力量に対して役目が重すぎること」という意味で誤用されることが多いこの言葉。実はこれも全く逆の意味だったんですね。

謙遜しようとして「こんな大きなプロジェクトを任せていただくなんて、役不足ではありますが頑張ります」等と使ってしまわないように注意したいところです。

そういった場合は「力不足」という言葉を使うと良いかと思います。それにしても、このロボットには世界の平和のためにも、ずっと博士の雑用をやっていてもらえるとありがたいですね。

先月に引き続き「正しい意味で使ってみよう!」というテーマで書いてみましたが、いかがだったでしょうか?「レフト鈴木が言葉の正しい意味を教えるなんて、力不足じゃないのか?」等と言われないように、これからも精進していきたいと思います!

レフト鈴木

1987年埼玉県生まれ。千葉大学卒業。お笑いトリオ「くりおね」ツッコミ担当(ワタナベエンターテインメント所属)。フジテレビ「日本語探Qバラエティクイズ それマジ!?ニッポン」、テレビ朝日「GURIGURIくりぃむ」、チバテレビ「Girl’s Pop’n Party」「おはYo! HIテンション」等に出演。2013年日本語検定1級に認定。
アメブロ:http://ameblo.jp/hidekasuzuki/
ツイッター:@leftsuzuki

記事一覧