随時更新中!レフト鈴木の日本語お笑い道場

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 皆様お久しぶりです!長い間連載をお休みしていて申し訳ありませんでした!理由としては、ありがたいことにお笑いの方でお仕事をいただけていたことや、『教員養成セミナー』で行っている連載の執筆活動等で時間が取れなかったことが大きかったです。しかし、また『日本語道場』にも力をしっかり注いでいきたいと考えておりますので、改めてよろしくお願いします。
 ちなみに、休載中に一番依頼の多かったお仕事は「eスポーツ」関連のもので、主にゲームのイベントに呼んでいただいていました。そのおかげか、ありがたいことに『ウイニングイレブン』というサッカーゲームのユーザーさんに「レフト鈴木さんですよね?テレビ見ました」というように声をかけていただけることも増えてきました。もちろん芸人としての知名度はまだまだですが、ゲーマーとしては多少知ってもらえるようになったのかな?と思っています。
 そんなある日、後輩と居酒屋で食事をしてお会計をしていたら、会計を担当していた男性の店員さんが僕に「あの…すみません。よかったらサインもらえないですか?」と声をかけてくれたのです。もしかしたらこの人も『ウイニングイレブン』のユーザーで、何かで僕のことを知ってくれたのかな?と思い、少し得意げに「あ、全然いいですよ。どこに書いたらいいですか?」と聞くと、「こちらにお願いします」と言われ、クレジットカードの伝票を渡されました。僕は心の中で、「いや、紛らわしいな!カードのサインもらうのに『よかったら』とか付けなくていいんだよ!俺も『あ、全然いいですよ』とか言っちゃったよ!恥ずかしいわ!」とツッコんでしまいました。当然一緒にいた後輩は必死に笑いをこらえていて、それもまた辛いところでした。まあ、僕がいい気になって勘違いしたのがいけないのですが。
 そんなこんなで、先月行われた今年度第1回日本語検定も、仕事の都合で受検できなかったのですが、読者の皆様の結果はいかがだったでしょうか?受かった方は喜んで、次回も!と勇み、落ちてしまった方は悔しがり、次こそは!と燃えていると思います。
 今回はそんな「喜び」や「悲しみ」などの感情にまつわる言葉の面白い使用例を考えてみたのでお楽しみください。題して「『感情』に関する言葉を使ってみよう!」


・「悲歌慷慨(ひかこうがい)」

世の中の不正や自らの不運を嘆き悲しむこと

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    男A「最近電車内でマナーの悪い人が多過ぎると思わないか?」
    男B「確かにな。昨日も列の割り込みをしている人を見かけたよ」
    男A「あれは許せないよな!あと、よくいるのが、混んでいるのに大きな荷物を背負っている人。前に抱えるか網棚に乗せるのが常識だよな」
    男B「その通り!やっぱりお前とは話が合うよ」
    男A「本当だな。でも、一番許せないのは、駆け込み乗車だな」
    男B「ああ、一番許せないな」
    男A「だよな!こっちは急いでいるんだから駆け込むに決まっているだろ!それなのに毎回毎回『駆け込み乗車はおやめください』とか注意してくるんだよ!おかしいよな!?」
    男B「いや、駆け込む側だったのかよ!おかしいのはお前だよ!どさくさに紛れて『悲歌慷慨』されても共感できんわ!」

 中国の『史記』から生まれた言葉で、「慷慨悲歌」とも言うそうです。漢の劉邦に敗れた項羽が、自らの不運を嘆く詩を詠んだことからきています。項羽はこの時、「抜山蓋世(ばつざんがいせい、山を抜き世を覆うほど強大な力を持つ様子)」という四字熟語も生んでいます。
 ところで、僕もよく電車に乗りますが、マナーの悪い乗客は常にいるものです。ちなみに「キセル乗車」という言葉がありますが、これはキセルが火皿のついた「雁首」と、「吸い口」の部分だけ金属でできている、つまり両端だけ「かね」が使われていることから、乗車区間の両端だけ金を払う不正乗車のことを指す言葉として使われるようになったそうです。言うまでもないですが、「キセル乗車」は立派な犯罪です。もし「キセル乗車」をしている人が車掌さんや駅員さんに乗車券の提示を求められたら、キセルだけに「煙に巻く」ことはしないでほしいものですね。きっとすぐに会社や学校に伝わって、一気に噂になるでしょうし。「火のないところに煙は立たない」ですから。


・「歓天喜地(かんてんきち)」

非常に喜んでいる様子

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~会社で~

    佐藤「今日は母校の甲子園出場をかけた試合の日だから、OBみんなで球場に行こうって約束してたのに、仕事で遅くなっちゃったぞ。まだ試合はやっているかな?とにかく球場に向かおう」

~球場で~

    佐藤「お、みんないるじゃん」
    田中「いやー!本当によかったな!」
    吉田「ああ、全く最高の気分だよ!」
    佐藤「おーい!みんな!」
    山本「あれ、佐藤、遅かったじゃん」
    佐藤「仕事が長引いちゃってな。それより、その様子だと試合は勝ったんだな?よーし!万歳三唱だ!」
    中川「いや、そういうわけじゃないんだけど…」
    佐藤「え?だって今みんな喜んでたじゃん?」
    小林「実はさ、聞いて驚くなよ。吉田がさっきコンビニ行ったら、会計がなんとちょうど777円だったんだよ!すごくね!?これ絶対いいことあるぞ!」
    吉田「ホント!こんなに嬉しいことはないぜ!あ、ちなみに試合は負けちゃったけどな」
    佐藤「紛らわしいな!そんなどうでもいいことで『歓天喜地』するなよ!」

「天に歓(よろこ)び地に喜ぶ」と読み下します。とにかく大喜びしている様を表す言葉です。
 確かに、レシートに縁起の良い数字が並んだりするとテンションが上がる気持ちは分かります。先日、相方の嘉数(かかず)がコンビニで買い物をして出て来たのですが、何やらテンションが上がっているようなので聞いてみると、「会計がすごく縁起の良い数字だったんだ」とのこと。

    鈴木「へぇ~。777円とか?」
    嘉数「ううん、6480円!虫歯ゼロだったんだよ!俺、虫歯だらけだから嬉しいよ!」
    鈴木「いや、歯医者の電話番号かよ!で、虫歯だらけって何だよ!?だったら歯医者行けよ!あと、コンビニで6480円って、何買ったらそんな会計になるんだよ!?」

と、色々ツッコんでおきました。まあ、縁起の良い悪いは人それぞれの受け取り方かもしれませんね。


・「目くじらを立てる」

目を吊り上げて、些細な失敗や他人の欠点などを非難すること

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~タクシーの車内で~

    運転手「ご利用ありがとうございます。どちらまで?」
      客「品川駅までお願いします」
    運転手「かしこまりました。ルートなんですが、早く着くうえに空いているルートか、遠回りなうえに大渋滞しているルート、どちらがよろしいですか?」
      客「前者に決まっているでしょ。何だよ?遠回りな上に大渋滞しているルートって。そっち選ぶ人いるのかよ?」
    運転手「かしこまりました。では出発しますので、お客様、アレをお願いしていいですか?」
      客「ん?ああ、シートベルトね。もちろんしますよ」
    運転手「ではなくて、『出発進行!』の掛け声をお願いします」
      客「やるわけないだろ!なんでそんな駅員さんみたいなことしなきゃいけないんですか!?いいから早く出てください」
    運転手「かしこまりました。お客様、車内の温度は大丈夫ですか?」
      客「ちょっと暑いですね。エアコンつけてもらえますか?」
    運転手「あ、今壊れてるんで無理です」
      客「じゃあ、なんで聞いたんだよ!?ていうか、直しとけよ!」
    運転手「そこは耐えていただいて…」
      客「耐えていただいて、じゃないんだよ!全く何なんだ?このタクシーは」
    運転手「あ、そうこうしているうちに、早くも品川駅に着きましたよ。お代はぴったり千円です」
      客「本当に早かったな。1万円でお釣りある?」
    運転手「細かくなってしまってもいいでしょうか?」
      客「別にいいですよ。全部千円札ってことですよね?」
    運転手「いえ、全て1円玉になります」
      客「細か過ぎだろ!ていうかよく1円玉9千枚も持っていたな!ちょっと、あんたさっきから色々おかしいだろ!」
    運転手「まあまあ、お客様そんな些細なことで『目イルカを立て』ないでください」
      客「それを言うなら『目くじらを立てる』だろ!ちょっと惜しいけど…いや、全然惜しくないよ!ていうか、これのどこが些細なことなんだよ!いい加減にしろ!」

「目くじら」とは目尻のことで、「目くじり」とも言ったものが「目くじら」に変化してできた言葉だと言われています。元々は目尻を吊り上げて怒りの表情になることを指しましたが、次第に些細なことで相手を非難するという意味に変わったのだそうです。なので、ここで言う「くじら」とは動物の「鯨」のことではありません。したがって、この運転手さんは「全然惜しくなかった」わけです。
 それにしても失礼な運転手さんですね。僕も仕事でタクシーに乗ることがあるのですが、たまに運転手さんの言動や態度に「ん?」となってしまうことがあります。よくあるのが、初めて降りた駅でタクシーに乗って「〇〇まで行ってください」と言うと、「ああ、××街道沿いのところですね?」と聞いてくるパターンです。「ん?なんでこっちが何度もその場所に行ったことがある前提なんだろ?」と思いながら、「僕も初めて行くのでよく分かりません」と言うと、「ああ、そうですか。…××街道沿いですよね?」と繰り返してきます。なので、僕はそのたびに「いや、話聞いてました!?分からないって言ってんじゃん!ていうか、確実にあなたの方が詳しいでしょ!」と心の中でツッコんでいます。


 さて、久々の『日本語道場』いかがだったでしょうか?これから季節も夏に突入します。体調に気をつけながら、令和最初の夏を思いっきり満喫しちゃいましょう!「感情」でいうと、喜怒哀楽の「喜」や「楽」で溢れる季節になることを祈っております!ただ、遊び過ぎて収入と支出の「勘定」が合わない、なんてことにならないように、そちらの方も気をつけてくださいね!

レフト鈴木

1987年埼玉県生まれ。千葉大学卒業。お笑いトリオ「くりおね」ツッコミ担当(ワタナベエンターテインメント所属)。フジテレビ「日本語探Qバラエティクイズ それマジ!?ニッポン」、テレビ朝日「GURIGURIくりぃむ」「『ぷっ』すま」、TBS「有吉ジャポン」、チバテレ「Girl’s Pop’n Party」「おはYo! HIテンション」等に出演。日本語検定1級に過去4回認定。
アメーバブログ:http://ameblo.jp/hidekasuzuki/
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