随時更新中!レフト鈴木の日本語お笑い道場

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 季節が冬から春に変わりつつある今日この頃、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?僕は相変わらず、オーディションやライブ等、精力的に活動させていただいているところです。もちろん家に帰れば子供の世話も積極的にやるようにしています。先日初めて実家に連れて帰ったのですが、両親も喜んでくれていたようで、少しは親孝行できたかな?と思った次第です。もちろん次は仕事の面でも親孝行できるようにしたいものです。
 話は変わりますが、どうしてお笑いの本場が大阪なのか知っていますか?ふと気になってしまい、折角お笑い芸人という仕事をしていることもあるので、自分なりに調べてみることにしました。
 話は江戸時代、江戸や上方(現在の京都・大阪)では、今も続く日本の伝統芸能である落語が流行していましたが、「江戸落語」が寄席の入口で入場料(木戸銭)を払って見る「前金制」がほとんどだったのに対し、「上方落語」は当初、神社の境内等の屋外で行われ、終わってから見物料(ご祝儀)を徴収する「後払い制」が主だったようです。よって大阪の噺家さんたちは、鳴り物を使ってお客さんの足を止めたり、滑稽な話で飽きさせないようにしたりといった「営業努力」をしていました。今日でも、江戸落語はしっとりとした人情話が多いのに対し、上方落語は鳴り物入りの派手な演出や滑稽な話が多いのは、こんなところに理由があるのでしょうね。
最近では大阪の芸人さんが東京に来て活動しているケースもとても多いので、僕の知り合いにも大阪出身の方が沢山いるのですが、笑いに対する執着心には確かにすごいものがあります。彼らは日常の何でもない会話の中でも貪欲に笑いを取ろうとするので、気づくとミニコントが始まっていたりして、やはりその辺りの意識は僕らと少し違うのではないかと思います。とはいえ、もちろん関東出身の芸人さんにも面白い方はいっぱいいますし、僕も芸人である以上、面白さでは負けているつもりはありませんよ!出身地の埼玉県を代表して(勝手にですが)これからも頑張ります!
 さて、今回は前回に引き続き、普段何気なく使っている言葉の意外な語源を紹介するとともに、その言葉が生まれた場面を「勝手に」推測してみるこの企画。それでは、いってみましょう!題して「語源を調べてみよう!」


・「後釜に座る(あとがまにすわる)」

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 「後釜」の元々の意味は、かまどに前の人が起こした火が残っている間に、次の釜をかけること。改めて火を起こす必要がないため手間がかからないというところから、前任者の功績を引き継げばいいだけの後任者に対して皮肉を込めて、「後釜に座る」という言い方をするようになったそうです。
 今では単に「前任者の跡を継ぐ」という意味で使われることが多いですが、元々のニュアンスは少し違ったようですね。きっとこの言葉は、こんなやり取りから生まれたのではないでしょうか?

男A「おっ、このかまど、まだ火が残っているじゃねえか。ちょいと拝借して米を炊くとするか」
男B「後釜は火を起こす手間が省けて、楽でいいよな」
男A「ああ、まるで誰かさんみたいだよ」
男B「誰かさん?誰のことだよ」
男A「とぼけんじゃねえ。先だって亡くなった村長(むらおさ)の跡を継いだお前のことだよ。荒地を耕して田畑を作ったのも、山から水を引いてきたのも、みんな先代の手柄。お前はただその上にあぐらをかいてりゃいいんだもんな。あ~あ。俺も誰かの『後釜に座って』楽に生きていきたいもんだよ」
男B「おい!一つ言わせてもらうぞ」
男A「あ?何だってんだよ?」
男B「お前の服…燃えてるぞ」
男A「ん?わっ!いつの間に!?アチチ!早く火を消してくれ!」
男B「ふん。後釜も楽じゃないだろ?」


・「相棒(あいぼう)」

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 時代劇で見たことのある方も多いでしょうが、駕籠(かご)という乗り物は、本体を棒で吊るした構造になっていて、その棒を二人で前後に分かれて担いでいました。担ぐ二人の息がピッタリ合わないと駕籠がうまく進まなかったことから、仕事上の一番のパートナーを「相棒」と呼ぶようになったそうです。
 ところで、今ではお笑いコンビの片割れのことは「相方」と呼ぶのが一般的ですが、少し前までは「相棒」と呼んでいる方もいたそうです。ちなみに僕たち「くりおね」はトリオなので、「相方」というよりは「メンバー」といった感じですかね。きっとこの言葉は、こんなやり取りから生まれたのではないでしょうか?

男A「今日はお疲れ!何とか日暮れ前に将軍様をお城までお送りすることができたな」
男B「お疲れ様でした。兄貴のお陰で無事に役目を果たせました」
男A「そうか、そうか。でもお前もなかなか筋がいいと思うぞ。何より俺たちは息がピッタリだったしな。今まで色んな奴と駕籠を担いできたが、こんなに呼吸が合う奴は初めてだよ。俺たち一番の仲間かもしれないぞ。息を合わせて棒を担ぐ、いわば『相棒』だな。これから俺たち、ずっと一緒にやっていかねえか?お前と俺だったらきっとうまくいくと思うんだ」
男B「あ~、えっと…」
男C「おう!こんなところにいたのか!この前はありがとな」
男B「あ、お疲れ様です」
男C「いやあ、俺たち本当に息ピッタリだったよな。これからはずっと俺と組まねえか?」
男B「それはちょっと…」
男D「おっ、探したぞ!なあ、俺と組むって話、考えてくれたか?俺たち息ピッタリだったもんな」
男C「おいおい、ちょっと待て!こいつは俺と組むんだ!何てったって、こいつと俺は息ピッタリなんだからよ!」
男D「いいや!俺の方がピッタリだ!」
男C「俺だって言ってんだろ!」
男B「二人共落ち着いてください!」
男A「あいつが人に合わせるの上手かっただけか…。いや、それはそれですげえ才能だ…」


・「水臭い(みずくさい)」

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 元々は食べ物や飲み物が水っぽくて「美味しくない」「まずい」ということを表す言葉だったのが、そこから次第に人に対しても「愛情が薄い」「親しい間柄にも関わらず他人行儀である」という意味で「水臭い」と言うようになったそうです。
相手を思いやるが故になかなか言いたいことが言えなくなってしまい、気づかないうちに身近な人に対して「水臭く」なってしまっていることはないでしょうか?そんな時は「水臭く」ない、美味しい料理でも食べながら、お互いの心の内を話し合ってみるのもいいかもしれません。きっとこの言葉は、こんなやり取りから生まれたのではないでしょうか?

又造「おう!勘吉じゃねえか!久しぶりだな!最近あまり会わねえが、どうしたんだ?」
勘吉「又造か。いやあ、この頃ちょっと忙しくてよ」
又造「そうか。時間ができたら、また前みたいにうちに遊びに来てくれよ。女房も会いたがってたしよ」
勘吉「う~ん、そうだなぁ…」
又造「おいおい、いやに歯切れが悪いな。俺とお前の仲じゃねえか。隠し事するなんて『水臭い』ぞ」
勘吉「水臭い?」
又造「水っぽい料理みてえに、味気ないってことだよ。何か訳があるなら聞かせてくれよ」
勘吉「そういうことか。じゃあ、はっきり言うけど、お前のとこの嫁さんの料理が口に合わないんだ。それこそ『水臭い』んだよ。だからといって本人に言うのは気がひけるし、それであまり行く気にならなかったんだ。黙っていてすまなかった」
又造「なんだ、そんなことだったのか。それだったら俺の方からうまいこと言って、出前を取らせるようにするからよ。それでいいだろ?」
勘吉「ありがとう。あとついでに言うと、お前のところの便所も臭いんだ。ちゃんと掃除してんのか?それから一度風呂に入らせてもらったこともあるけど、風呂の水も臭かったなぁ。本当にあんな臭い風呂に毎日入っているのか?信じられねえよ。あと、そもそもお前の口もめちゃめちゃ臭い…」
又造「分かった!もうやめてくれ!当分うちには来なくていいから!」


 今回は語源に加えて「お笑い」のルーツについても書いてみましたが、いかがだったでしょうか?ちなみにこのコラムは今の事務所に入ってから初めてもらえたレギュラーのお仕事なので、今後僕がブレイクしたら、当然ルーツはこの「日本語道場」ということになると思います。今のうちにしっかりチェックしておくことをオススメしますよー!

レフト鈴木

1987年埼玉県生まれ。千葉大学卒業。お笑いトリオ「くりおね」ツッコミ担当(ワタナベエンターテインメント所属)。フジテレビ「日本語探Qバラエティクイズ それマジ!?ニッポン」、テレビ朝日「GURIGURIくりぃむ」「『ぷっ』すま」、TBS「有吉ジャポン」、チバテレ「Girl’s Pop’n Party」「おはYo! HIテンション」等に出演。日本語検定1級に過去3回認定。
アメーバブログ:http://ameblo.jp/hidekasuzuki/
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