上田まりえ「ことばのキャッチボール」

 みなさま、はじめまして。私、上田まりえと申します。2009年、日本テレビにアナウンサーとして入社し、16年に退社。現在は、タレントとして活動させていただいております。記念すべき、第1回目のコラムです! なので、どんな内容にしようか悩み、眉をしかめながらパソコンのキーを叩いています。暖かく見守っていただけたらうれしいです。これからよろしくお願いいたします。

 突然ですが、ここで問題! この自己紹介の中には適切でないものが5つあります。どれでしょうか?
シンキングタイム、スタート! チチチチチチチチ……終了! 正解はこちらです。

    ① 誤)活動させていただいております → 正)活動しています
    ② 誤)第1回目 → 正)第1回 または 1回目
    ③ 誤)なので → 正)そのため
    ④ 誤)眉をしかめる → 正)眉をひそめる
    ⑤ 誤)暖かく → 正)温かく
    ①「〜させていただきます」使い過ぎ問題、深刻です。近年、敬語を過剰に使用する傾向にありますが、かえって失礼になることもあります。この場合「いただく」と表現すると、「誰かに頼まれてタレントをしているのか!?」と突っ込まれてしまうかもしれません。
    ②「第1回目」は重複表現。「第」と「目」は同じ意味です。
    ③「なので」は文頭で使う言葉ではありません!
    ④「ひそめる」のは眉、「しかめる」のは顔と覚えましょう。ちなみに、どちらも漢字で書くと「顰める」。日本語の難しさを感じます。
    ⑤「暖かい」は主に気候のことを指します。人の気持ちを表すのは「温かい」。

 どれもこれも、よく見聞きするものばかり。おそらく違和感を覚えない人が多いのではないでしょうか。②は、アナウンサーになったばかりの頃に先輩から教わり、とても驚いたことを覚えています。

 日本テレビに入社してから6年10ヶ月、アナウンサーとしてさまざまな番組に携わってきました。退社後は、テレビ以外にも活動の場を広げ、タレント、ラジオパーソナリティ、ナレーター、MC、スポーツキャスター、ライターなどをしています。また、アナウンススクールでアナウンサー志望の大学生に指導をしたり、SNSやセルフプロデュースについての講師も務めています。去年7月からは、ショートムービープラットフォーム・TikTokで「上田まりえの日本語教室」という教育コンテンツを始めました。1回1語、気になる日本語について15秒から60秒の動画を投稿しています。多種多様な業務内容ではありますが、すべてに共通しているのは「伝える」ということです。話すことを生業として13年目、書くことは6年目。どちらも道半ばではありますが、「伝わる」ことを目指して言葉を紡いでいます。正しさだけにとらわれていても、正しく伝わらないことがあるのが、日本語の難しいところなのです。

このコラムでは、アナウンサー時代の経験からタレントとして活動をする中で「いま気になる言葉」についてとり上げていきます。ただ正しいことを伝えるのではなく、読者のみなさんと一緒に考える機会にしたいと考えていますので、ご意見や感想、質問などもお待ちしています。

 それでは、正しい自己紹介をして、このコラムを締めくくりたいと思います。

 みなさま、はじめまして。私、上田まりえと申します。2009年、日本テレビにアナウンサーとして入社し、16年に退社。現在は、タレントとして活動しています。記念すべき、第1回のコラムです! そのため、どんな内容にしようか悩み、眉をひそめながらパソコンのキーを叩いています。温かく見守っていただけたらうれしいです。これからよろしくお願いいたします。

上田まりえ

タレント、日本語検定委員会 審議委員

1986年9月29日、鳥取県境港市生まれ。2009年、専修大学文学部日本語日本文学科卒業後、日本テレビにアナウンサーとして入社。2016年1月末に退社し、タレントに転身。現在は、タレント、ラジオパーソナリティ、ナレーター、MC、スポーツキャスター、ライターなど幅広く活動中。また、アナウンススクールとSNS・セルフプロデュースについての講師も務める。2019年、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程1年制コース修了。
2021年7月14日には「知らなきゃ恥ずかしい!? 日本語ドリル」(祥伝社黄金文庫)を上梓。