随時更新中!レフト鈴木の日本語お笑い道場

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 皆さん、お久しぶりです。先日は平成29年度第1回日本語検定が行われましたね。受検された方々、お疲れ様でした。もちろん僕も二度目の1級認定を目指して受検しましたよ。今回は勉強に集中するために、この原稿の締切まで延ばしていただいてしまったので、絶対に合格を勝ち取りたい!というか、もうすぐこのコラムが始まってから2年半が経とうとしていますし、読者の皆さんの期待に応えるためにも、そろそろ取らないとヤバイ!という不退転の気持ちで挑みました。そして、後日発表された解答速報を見ながら自己採点してみたところ、なかなかの正答率であることが分かりました。正直今回は手応え十分です。もちろんあくまで自己採点なので来月の発表を見るまでは安心できませんから、期待しながらもモヤモヤとしながら結果が出るのを待ちたいと思います。
 さて、今回の1級の問題に関してですが、何といっても問8の形式が従来とはガラリと変わっていたのが印象的でした。ここ数年、問8は類義語、対義語を答える問題でしたが、今回は二つの文に当てはまる共通の言葉を穴埋め形式で答えるというものになっていました。まるでクイズのような出題のされ方だったので、楽しみながら解くことができました。全体的には難易度も標準くらいだったように感じました。やはり過去問をしっかり研究して、何度も繰り返し解くことが一番有効な対策だと思えます。もちろんそれにプラスして、積極的に語彙を増やすことも欠かせません。僕も今回は一つでも多くの慣用句や四字熟語を覚えようと、ギリギリまで勉強しました。今後受検を考えている方は是非参考にしてみてください。
 さて!今月は1級で出題された言葉を使った例文を紹介する、このシリーズでお送りしたいと思います。「1級レベルの言葉を使ってみよう!」

「禍福(かふく)はあざなえる縄(なわ)のごとし」

~幸福と不幸は表裏一体で、代わる代わるやってくるものだということ~

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男A「聞いてくれよ!今朝、俺、宝くじで100万円当たったんだぜ!」
男B「すげえじゃん!」
男A「でも、その直後に彼女からメールがあって、別れようって言われたんだ」
男B「そうか...それは残念だったな」
男A「でも、その後、商店街で福引やったらさ、なんとハワイ旅行が当たったんだぜ!」
男B「おお!」
男A「でも、その帰り道に財布落としちまったんだ...」
男B「え...?そりゃ災難だったな」
男A「あ、部長から電話だ。もしもし。え?社長直々のご指名で、僕が来月から社長に就任!?やったー!!」
男B「お前、今日は激動の一日だな!『禍福はあざなえる縄のごとし』かよ!」

 問7の二で出題されたことわざです。「あざなう」は、縄などをなう、縒り合わせるという意味で、人生はまるで縄のように災いと幸せが縒り合わさってできているということを表しています。
それにしても、男Aさんにとってはすごい一日になりましたね。ただ、よく読んでみると、確かに悪いことも起きていますが、それを上回るくらいの良い事が起きている気がします。財布は落としてしまいましたが、100万円とハワイ旅行が当たっていますし、彼女には振られてしまいましたが、来月から社長になるのであれば、きっとその後はモテモテでしょうし、結果ツイてる一日でしたね。

「仏造って魂入れず(ほとけつくってたましいいれず)」

~苦心して作ったものの、肝心な部分が抜け落ちているために、台無しになっていること~

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開発者「ついに最新のスマートフォンの開発に成功しました!」
社長「本当か!?どんな新しい機能がついているんだ?」
開発者「はい。まずカメラの性能が格段に上がり、一眼レフと同等の解像度を実現することができました。さらに撮影した動画や写真を3Dで再生することもできます。それから何といっても凄いのが、このスマホは人間の脳波を読み取ることができるので、画面をタッチしたり文字を入力したりしなくても、頭の中でイメージするだけで全ての操作を行うことができるんです」
社長「おお!それはすごいな。じゃあ、試しにその機能を使って私の携帯に電話をしてみてくれ」
開発者「はい。う~ん、社長に電話、社長に電話...」
社長「おい、かかってこないぞ」
開発者「あれ、おかしいな。あ!しまった!通話の機能をつけるの忘れてました!」
社長「それじゃあ電話って言わないよ!『仏造って魂入れず』か!」

 問11のエで出題されたことわざです。物事は仕上げが最も重要であり、そこを怠るとそれまでの努力が無駄になる、という意味も含んでいます。
それにしても、最近のスマホは本当に便利ですよね。分からないことがあれば、いつでもどこでも調べられますし、動画や写真もかなりの高画質で見ることもできます。もうこのままいったら、そのうち通話するという元々の機能が忘れられてしまうのでは?というところから思いついたネタです。最近は皆さんLINEやメールだけで連絡を済ませることが多いですし、近い将来僕たちの子供や孫達が「え、スマホって元々電話だったの?知らなかった」なんて言う日が来るかもしれませんよ。

「気息奄々(きそくえんえん)」

~息も絶え絶えな状態~

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子供「あれ?見たことない戦隊ものの番組をやっているぞ。ちょっと見てみよう」
レッド「トーウ!昨日インフルエンザにかかって、今も40度の熱があるぜ!レッド!」
ブルー「トーウ!ここに来る前に趣味のトライアスロンをやっていたから、足が棒のようだ!ブルー!」
イエロー「トーウ!今朝、持病の腰痛が悪化して、車椅子に乗ってここまで来たぞ!イエロー!」
レッド「ちなみにピンクとグリーンは前回の怪人との戦いで全身を複雑骨折したため、今も入院中!我ら、ヘルシーレンジャー!」
子供「全員『気息奄々』かよ!誰もヘルシーじゃないじゃん!」

 問16の五で出題された四字熟語です。「奄」には、ふさぐ、ふさがるという意味があり、「奄奄」と二つ重ねることで、息がふさがりかけている状態を表します。
  それにしても、こんなに体調の悪いヒーロー戦隊も珍しいですね。それとも怪人が来るスパンが短すぎて、コンディションを整えるのが難しいのでしょうか。名前もヘルシーレンジャーからアンヘルシーレンジャーに改名することをおすすめしたいですね。

 さて、来月の原稿を書く頃には検定の結果が出ているはずです。果たして僕は書き出しで「受かりましたー!」と言えるのでしょうか?しかも今回は「手応え十分」などと冒頭に書いてしまったので、もし落ちていたら恥ずかしさも倍増です。でも、あえて書き直しませんよ!これで落ちていたら笑ってください!僕は一切笑えませんが...

レフト鈴木

1987年埼玉県生まれ。千葉大学卒業。お笑いトリオ「くりおね」ツッコミ担当(ワタナベエンターテインメント所属)。フジテレビ「日本語探Qバラエティクイズ それマジ!?ニッポン」、テレビ朝日「GURIGURIくりぃむ」、チバテレビ「Girl’s Pop’n Party」「おはYo! HIテンション」等に出演。2013年日本語検定1級に認定。
アメブロ:http://ameblo.jp/hidekasuzuki/
ツイッター:@leftsuzuki

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