随時更新中!レフト鈴木の日本語お笑い道場

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 暑い日が続いていますね!汗っかきの僕は今、汗だくになりながらこのコラムを書いています。この季節になると毎年、テレビや、駅に貼ってあるポスター等で、熱中症に対する注意喚起が度々されますが、先日「オリジナリティを出したいのは分かるけど、ちょっと無理矢理じゃない?」と思えるポスターを見かけました。そのポスターとは、サッカー選手がボールをキックしている写真に、「熱中症対策のゴールを決めろ!」という標語が添えてあるものでしたが、「いやいや!ワールドカップの最中だし、サッカーに絡めたいのは分かるけど、『熱中症対策のゴール』って何なんだよ!?意味が分かんないよ!むしろ『もっと熱くなれ』って言われてるみたいだよ!」とツッコみたくなってしまいました。まあ、逆に印象に残ったので、ある意味キャンペーンとしては成功かもしれませんが。
 さて、話は変わりますが、先日、今年度第1回日本語検定の結果が発表されましたね!受検された皆さん、結果はいかがだったでしょうか?1級を受検した僕ももちろん、自分の結果をチェックしました。今回の受検結果は…無事合格です!これで4回目の認定です!いや~、自己採点をした時は正直、「ん?これ全体の得点率はまあまあ良さそうだけど、『語彙』『言葉の意味』の分野、結構間違えてない?50%下回ってたらやばいじゃん!」と、ヒヤヒヤしましたが、何とか大丈夫だったようです。これを執筆している段階ではまだ手元に個人カルテが届いていないので、詳しい得点率等はわかりませんが、恐らくギリギリだったのではないかと思われます。しかし、合格は合格。やはり何回目であろうと気持ちが良いものです。今回思うような結果が出せなかった方も、諦めずにまた何度でもチャレンジしてみてください。僕もなかなか合格ができずに苦しんだ時期もありましたが、諦めずに続けて良かったと思っています。次回の検定に向けてもう勝負は始まっています!一緒に前を向いて頑張りましょう!
 さて!それでは、検定直後はもはや恒例になったこの企画いってみましょう!「1級レベルの言葉を使ってみよう!」


・「四通八達(しつうはったつ)」

人の往来が激しくて賑やかなこと

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男A「おい、約束のブツは持って来たんだろうな」
男B「待てよ。金が先だ」
男A「はあ?約束が違うぞ」
男B「それはこっちのセリフだ。まずは金をよこせ」
男A「さっさとしねえと誰かに見られるだろ。いいからブツを改めさせろ」
男B「金が先だって言ってんだろ!」
男C「お兄さん方、キャバクラいかがっすか?いい娘いますよ」
男A「うるせえ!こっちは今、取り込み中だ!」
男D「いやいや、お兄さん。うちの方がいい娘いますよ」
男A「どいつもこいつもうるせえな!てか、歌舞伎町のど真ん中でこんな大量の武器の取引なんかできる訳ねえだろ!『四通八達』だぞ!」


 今回、問16の三で出題された四字熟語です。元々は、各方面への道路網が発達して便利なこと、という意味だったのですが、転じてこのような意味で使われるようになったそうです。
 新宿に限らず繁華街に行くと、色んなお店のいわゆる「キャッチ」という人達に本当によく声をかけられます。昔、腕を骨折して、三角巾をしている状態で歩いていた時に、「お兄さん、ボウリングいかがっすか?」と言われた時は驚きました。もちろん「いや、よく声かける気になったな!」と心の中でツッコみながらスルーしました。


・「禄を食む(ろくをはむ)」

給料をもらって生活すること

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佐藤「あれ?田中じゃないか?」
田中「おー!佐藤か!奇偶だな、こんな場末の立ち呑み屋で会うなんて」
佐藤「本当だな。三年ぶりか?最近はどうしてるんだ?」
田中「相変わらず、しがないサラリーマンだよ。雇われの身ってのは辛いな。若くして独立して会社を立ち上げたお前が羨ましいよ」
佐藤「何言ってるんだ。経営者ってのもなかなか大変なんだぞ。社員の人生を背負うってことなんだからな。まあお前も色々あると思うが、誰かが給料を払ってくれるっていうのは幸せなことなんだと思わなきゃ」
田中「確かにそうかもしれないな。で、会社は順調なのか?」
佐藤「ああ、会社なら半年で潰れて、以来家で引きこもってニートだよ。今日は二年半ぶりに外に出たところだったんだ。まあ、田中も仕事頑張れよ」
田中「お前が頑張れよ!何ニートのくせに、経営者目線で説教じみたこと言ってくれてんだよ!お前の方こそ、せめてバイトでもして『禄を食め』よ!」


 問11のオで出題された慣用句です。「禄」とは、武士が主君に仕えることで支給される給与のことで、「扶持(ふち)」とも言います。現代では、「誰々(何処どこ)の禄を食む」「禄を食む身」などと使われることが多い言葉です。
 社長と聞くとなんだか羨ましくなってしまいますが、経営者には経営者の悩みや苦しみがあるんですよね。僕の相方の上田が経営する飲食店で、もう一人の相方の嘉数(かかず)が従業員として働いているのですが、普段は三人で仲良くしていても、店の売上等のシビアな話になると、完全に上田の方が立場が上になり、時には嘉数を叱責したりすることもあります。僕は未だにあの雰囲気の時にどんな顔をしていればいいか分かりません。


・「仰々しい(ぎょうぎょうしい)」

必要以上に大げさである様

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~ある中学校の朝のホームルームにて~


 担任「じゃあ、先生が呼んだら教室に入っておいで」
転校生「はい。僕、転校したの初めてなんで、緊張します」
 担任「うちのクラスはみんないい子達だから大丈夫だよ。念の為、入ってきやすいように先生が雰囲気を作っておくから」
転校生「ありがとうございます。よろしくお願いします」
 担任「ガラガラガラ(扉を開ける音)。こらー、席につけー。(教卓の前に来て)実は今日からこのクラスに新しいお友達が来ます」
生徒達「えー!マジかよ!このクラスに転校生来るなんて初めてじゃん!男子?女子?イケメン?美人?性格は良さそう?早く紹介してよ、先生!」
 担任「静かにしなさい!それと、勝手に期待値上げて、余計なプレッシャーかけんじゃない!いいか?転校生だって不安なんだよ。『新しい学校で友達できるかな?』とか『いじめられたりしないかな?』とか色々考えちゃったりするんだよ。だから全員でしっかりと空気を読んで、気を使いまくって、絶対に仲良くするように!いいな!?」
生徒達「…は~い↓」
 担任「よーし。じゃあ、入りなさい!」
転校生「いや、入りづらいわ!みんなだって、こんなんじゃ俺と接しづらいだろ!前置きが『仰々しい』んだよ!」


 問8の五で出題された言葉です。一説には、「稀有稀有しい(さも貴重なものを扱う様)」が変化して「仰々しい」となったそうです。
 僕自身は転校をしたことがないのですが、転校初日は誰もがきっとこんなふうにドキドキしているんでしょうね。そんな時にこの先生のような前置きをされたら、「出鼻をくじかれた」ような気持ちになりそうです。でも、この転校生のように「入りづらいわ!」とツッコみながら教室に入っていけたら、「あいつ面白いぞ」となって、一躍人気者になれるかもしれません。


 さて、今月は最後にこの場を借りてお知らせがあります。僕達くりおねが最近新しいYouTubeのチャンネルを開設しました。その名も「くりおねtube」です!今までもネタ動画を載せるチャンネル(「くりおねチャンネル」)は持っていたのですが、今度のはそれとは別の、三人で様々な企画に挑戦する、いわばテレビのバラエティー番組のようなチャンネルです。動画は順次アップしていますので、是非チェックしてください!チャンネル登録もよろしくお願いしまーす!

レフト鈴木

1987年埼玉県生まれ。千葉大学卒業。お笑いトリオ「くりおね」ツッコミ担当(ワタナベエンターテインメント所属)。フジテレビ「日本語探Qバラエティクイズ それマジ!?ニッポン」、テレビ朝日「GURIGURIくりぃむ」「『ぷっ』すま」、TBS「有吉ジャポン」、チバテレ「Girl’s Pop’n Party」「おはYo! HIテンション」等に出演。日本語検定1級に過去4回認定。
アメーバブログ:http://ameblo.jp/hidekasuzuki/
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ユーチューブ:https://www.youtube.com/channel/UCLBQrhXN7UsOA2V50oTCqMg
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