随時更新中!レフト鈴木の日本語お笑い道場

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 皆さん、こんにちは。レフト鈴木です。少し遅くなりましたが、先日の検定を受けられた方々、お疲れ様でした。もちろん僕も1級を受検してきましたよ。
 全体的な感想としては過去問と比べても難易度は標準的だったと思いますし、しっかりと過去問を解いてきた方なら、ある程度の手応えを得られたのではないでしょうか。
 僕も解いている最中は「あれ?結構自信のある問題が多いぞ。これは高得点とれるんじゃないか?」なんて思ったりしたのですが、後日、日本語検定のHPに掲載された解答速報を元に自己採点してみたところ、「ん?間違えている問題多くない?高得点どころか、ちょっとギリギリだぞ」という感じだったので、今は少し不安になっています。特に問16の二で出題された「曖昧模糊」に関しては、以前この「日本語道場」で取り上げたにも関わらず、「糊」の字を「米へん」ではなく「木へん」にしてしまっていたことに気づき、「あー!しまった!」と思わず頭を抱えてしまいました。恐らく僕と同じようにケアレスミスに気づいて、後悔している方もいらっしゃることと思います。
 こういう時はえてして、できた問題よりも間違えてしまった問題の方が気になってしまうものですが、逆に言えばその分印象に残るので、知識として記憶に定着しやすいと僕は感じています。なので僕はミスに気づいた時、「間違えたからこそ勉強になる!だからこれは良いことだ!」とポジティブに捉えるようにしています。また、結果への不安も、ドキドキした状態で合否発表の日が待てるということなので、皆さんもむしろこの状況を楽しんでみませんか?
 さて、今回はもちろん検定後恒例の、1級で出題された言葉を使ったこの企画でいってみましょう!題して「1級レベルの言葉を使ってみよう!(その6)」。1級を受けた方は復習に、次回以降の受検を考えている方は勉強する上での参考に役立てていただけたらと思います。


・「舞文曲筆(ぶぶんきょくひつ)」

文章を飾るために、事実を曲げて書くこと

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~深夜の六本木の交差点で~

    週刊誌の記者「田中さん!さっき、人気アイドルのちえみさんと一緒に食事していましたよね?どういうご関係ですか?田中さんは結婚されていますし、まさか不倫関係ですか?」
    大物俳優「ちょ、ちょっと、何だ君は?突然失礼だろ!」
    週刊誌の記者「質問に答えてくださいよ。答えてくれないなら、『大物俳優の田中と人気アイドルちえみが不倫!?』みたいな感じで本誌に載せちゃいますよ?」
    大物俳優「おい!ちょっと待ってくれ!ちえみはただの友人だよ。何ていうか…仲のいい妹みたいな存在かな」
    週刊誌の記者「え!?そうだったんですか?」
    大物俳優「そうだよ。だから、さっさと帰ってくれ」
    週刊誌の記者「分かりました。失礼します」
    大物俳優「ふぅ~、助かった。まさかこんな言い訳が通用するなんて思わなかったな」

~数日後、テレビ局の控室で~

    マネージャー「田中さん!田中さんとちえみさんのことが週刊誌で記事になっています!」
    大物俳優「え!?そんな馬鹿な!ちゃんと誤魔化したはずなのに。どんな記事なんだ?」
    マネージャー「それが、『田中本人激白!人気アイドルのちえみは実は妹だった!』っていう記事なんですけど、これ本当なんですか?」
    大物俳優「はあ?あの記者ちゃんと話聞いてたのかよ!?どう解釈したらそうなるんだよ!?『舞文曲筆』にも程があるわ!」

問16の三で出題された四字熟語です。「舞文」は言辞をもてあそび勝手なことを書くこと、「曲筆」は事実を歪曲して書くことで、「曲筆舞文」とも言うそうです。
 芸能界は好感度命の世界なので、スキャンダル一つで一気に仕事がなくなってしまったりしますが、最近は特にその傾向が強まっているように思えます。
  一方、記者の方々は良きにつけ悪しきにつけ、何とかしてネタを見つけようと必死なのは分かるのですが、ネットニュース等を見ていると、たまに「え?こんなことでも記事にするの?」と思うようなものがあったりします。かなり前ですが、「杉浦太陽、子供と風呂に入っていてのぼせる」という見出しを見た時は流石に、「どうでもいいわ!」とツッコんでしまいました。それがニュースになるくらいですから、きっとその日は相当日本が平和だったのでしょうね。


・「頂門の一針(ちょうもんのいっしん)」

人の痛いところをついた適切な教訓

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~会場入り直前の男子テニス選手とコーチの会話~

    コーチ「今日はいよいよ全英オープンの決勝戦だ。気合は入っているんだろうな!?」
    選手「もちろんです!絶対に優勝してみせますよ!コーチ、最後のアドバイスをください!」
    コーチ「最後のアドバイスか。分かっていると思うが、俺は数いるテニスコーチの中でもかなり厳しい方だぞ。試合直前にメンタルにダメージを受ける可能性もあるが、それでも聞きたいのか?」
    選手「もちろんです!僕はコーチのその厳しい言葉のお陰でここまで成長できたんです。決勝直前の今だからこそ、コーチのアドバイスがほしいんです!」
    コーチ「そこまで言うなら仕方がない。前々から言おうと思っていたことを言おう。まず、お前がいつも使っているあのダサいバッグはなんだ!?どこで買ったんだよ?ていうか、お前は私服もダサいんだよ!絶対みんな陰で馬鹿にしてるって。それから、食べる時にクチャクチャ音立てるのやめてくれないか?俺あれマジだめなんだよ。食欲なくなるわ。それから、お前が飼っている犬の名前だけど…」
    選手「どうでもいいことばっかりじゃねえか!地味に傷つくし!もっと『頂門の一針』みたいな言葉くれよ!」

問11の一で出題された故事成語です。「頂門」とは頭のてっぺんのことで、「一針」はそこに針灸の針を刺すこと。頭頂が急所であることから、相手の痛いところを突いて戒めることをこう言うようになったとのことです。
 今年はスポーツ界でのパワハラ問題がよく取り上げられましたが、このコーチの発言も指導の範疇を外れた単なる誹謗中傷で、ほとんどパワハラですよね。
 僕達芸人の世界も上下関係が厳しいのですが、中にはこの選手のように、あえて厳しく指導されるのを望む若手もいます。以前もある後輩が「先輩、僕らのネタどうでしたか?ダメ出ししてください!遠慮せず厳し目でお願いします!」と言っている場面に遭遇しました。ただ、その先輩はとても温厚な人で、後輩に厳しくすることに慣れていないらしく、明らかに困惑していました。そして、少し考えた末に「え~と、お前らのネタだろ?う~ん…と、とりあえずコンビニでパン買ってこいや!」と、訳の分からないことを言い出しました。恐らくその先輩の頭の中には、「厳しくすること」=「パンを買いに行かせること」という方程式があったのでしょう。もちろん、その後輩からは「いや、厳しくするってそういう意味じゃないですよ!ネタの事ですよ!」とツッコまれていました。慣れないことはするもんじゃないですね。


・「つくねんと」

何もせず、ぼんやりと、一人じっとしているさま

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~喫茶店での営業マン二人の会話~

    部下「ホントに大丈夫なんですか?深海社長に突撃営業だなんて」
    上司「会社に直接連絡しても、うちのような零細企業じゃアポはとれないからな。やむを得ないだろう」
    部下「でも、もし怒らせでもしたら…」
    上司「その時はその時だ。折角俺の情報網を駆使して、社長の行きつけの喫茶店を突き止めたんだ。このチャンスを逃す手はないだろ」
    部下「それもそうっすね。それにしても、あれだけの大会社の社長が、どうしてこんな場末の喫茶店で一人ぼーっとお茶飲んでんすかね。服装もめっちゃ地味だし」
    上司「普段多忙を極めているからこそ、一人の時間を大切にしてるんだよ。できる男はオンとオフの切り替えが絶妙なのさ」
    部下「なるほど。あ!店を出ますよ!」
    上司「よし!突撃だ!…すみません。深海社長ですよね?突然で申し訳ありません。私どもは鈴木企画と申しまして、この度御社にどうしてもご提案したいことがございまして…」
    老人「ちょ、ちょっと、何の話や?わしが社長?学校出てからずっとヒモ暮らしで、真面目に働いたことすらないんやけど。今からパチンコ屋行くさかい、そこどいてんか」
    上司「ああ、すみません。…間違えちゃったな(苦笑)」
    部下「間違えちゃったな(苦笑)じゃないでしょ!誰に声かけてんですか!ただ『つくねんと』座ってたじいさんじゃないですか!ていうか、いきつけの喫茶店調べる前に、社長の顔を把握する方が先でしょ!」

 問10の三で出題された言葉です。漢字で「徒然と」とも書きます。「ぽつねんと」という言葉もあり、同じような意味で使われます。
 それにしても用意周到なのか、抜けているのかよく分からない上司ですね。部下の言う通りで、そんなにすごい情報網を持っているなら、写真の一枚でももらっておけばよかったんですよね。
 そういえば、以前あるテレビ番組で、大手飲食チェーンの社長が新人アルバイトに扮して現場で働いてみる、という企画をやっていましたが、なかなか面白かったです。現場の責任者である店長が社長に「時給分くらいは働いてくださいよ!」と叱責しているシーンでは、「いや、逆!逆!その人があなたのこと雇ってるんだよ!」と、視聴者全員がツッコんだのではないでしょうか。もちろん、店長は正体を知らないので仕方ないのですが。


 ちなみに僕は今回、「舞文曲筆」と「つくねんと」に関しては正解することができませんでしたので、自分自身のおさらいも兼ねてネタに使わせていただきました。もしかしたら皆さんも、間違えてしまった言葉を使ってコントを作ってみたりしたら、今度こそちゃんと覚えられるかも…。いや、「芸人でもないのにコントなんか簡単に出来るわけないだろ!そんな暇があったら普通に復習して、ついでに新しい言葉も覚えるわ!」という、僕に対する「頂門の一針」のようなお言葉が聞こえてきそうですね(苦笑)。

レフト鈴木

1987年埼玉県生まれ。千葉大学卒業。お笑いトリオ「くりおね」ツッコミ担当(ワタナベエンターテインメント所属)。フジテレビ「日本語探Qバラエティクイズ それマジ!?ニッポン」、テレビ朝日「GURIGURIくりぃむ」「『ぷっ』すま」、TBS「有吉ジャポン」、チバテレ「Girl’s Pop’n Party」「おはYo! HIテンション」等に出演。日本語検定1級に過去4回認定。
アメーバブログ:http://ameblo.jp/hidekasuzuki/
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