随時更新中!レフト鈴木の日本語お笑い道場

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 どうも皆さん、こんにちは。ゴールデンウィークも終わり、この春から新生活が始まった方はやっと環境に慣れてきたところでしょうか?そして、今月にはついに今年度の第1回検定が行われますね。もちろん僕も申し込みを済ませました。今回は4度目の1級合格はもちろんのこと、前回を上回る高得点率も狙っています!皆さんもご自身の目標に向かって最後まで一緒に頑張りましょう。
 ところで最近、トリオでテレビ出演をさせていただく機会が数回ありました。僕個人としても約1年ぶりの出演でしたが、周りからはすぐに「見たよ!」とメール等で連絡が来ました。僕らの今一押しのネタを流してもらえたこともあり、評判も上々のようで、またテレビに出させていただけるように一層頑張らねば!と励みになりました。
 放送の翌日にはアルバイト先の人にも、「鈴木君!昨日見たよ!面白かったね!うちの奥さんも面白いって言って、すごくはまってたみたいだよ。同じ映像何度も見て、その度に笑ってるんだよ~」と言われました。実は僕達芸人からすると、これはとても嬉しい反応なんです。というのも、「○○も面白いと言っていた」というのは、僕のいないところで言っていた感想なので、お世辞や気遣いが混じっていないリアルな反応であると推測できるからです。もちろん、直接感想を伝えてきてくださる方の言葉を疑っているわけではないですし、面と向かって「面白かったよ!」と言われるのもすごく嬉しいのですが、間接的に伝わってくる感想というのは、それよりさらに僕達のテンションを上げてくれます。
 なので、僕もその時は舞い上がってしまって、「ありがとうございます!奥さんにもよろしくお伝えください!」と、深々と頭を下げました。すると、その人は続けて、「いやあ、彼女ホント“くりおね”のファンになっちゃったみたいでさ。それで、ちょっと鈴木君に頼みたいことがあるらしいんだよ」と言いました。「何だろう?サインでも頼まれるのかな?」とちょっとドキドキしながら「何ですか?」と聞くと、「あのさ…ブルゾンちえみのサインもらってきてくれない?」と言われました。「えー!?僕らのサインじゃないのかよ!?確かにブルゾンは同じ事務所の後輩だから頼めなくもないけど、ここまでの話の流れ関係ないじゃん!」と心の中でツッコみながら、「あ~、チャンスがあったら言っときますね」と曖昧な返事でごまかしました。まあ、最後にトホホなオチがつきましたが、こうやって応援してくれる方が少しずつ増えていくのはありがたいことです。
 さて!それでは、今月は検定実施の月ということもあり、久々に「難しい言葉を使ってみよう!」をお送りしたいと思います!タイトル通り、普段使わないような難しい言葉の面白い使用例を紹介しますので、楽しみながら勉強してみてください!


・「拐帯(かいたい)」

金や品物を持ち逃げすること

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~コンビニにて~


店長「おかしいな~」
店員「どうしたんですか?」
店長「またレジのお金が足りないんだ。今月に入ってもう5回目だよ。これで合計100万円くらいはなくなってるんじゃないかな」
店員「え?そんなになくなってるんですか?何か心当たりはないんですか?」
店長「特にないんだよな~。強いて言うなら、バイトの増田が以前『家賃が払えなくて困ってる』って言ってたのに、最近急に高そうな腕時計をつけてくるようになったり、レジの精算が合わない日に限って、いつも増田がシフトに入ってたり、この前増田がレジを締めてる時に、こそこそ何かをポケットに入れてるのを偶然見かけちゃったりしたくらいかな~。…なんでお金なくなっちゃうんだろ?」
店員「なんで分かんないんだよ!絶対増田が『拐帯』してるよ!」


 人を「誘拐する」という意味もある言葉で、「拐」は訓読みで「拐かす(かどわかす)」と読みます。
 証拠もないのに人を疑うのは良くないことですが、ここまで材料が揃っていたら増田を犯人だと思っていいのではないでしょうか?これで増田が連絡もなくバイトを辞めたら、つまり「バックレ」たら確実でしょう。


・「寝穢い(いぎたない)」

いつまでもだらだらと眠っているさま

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~ある家庭の休日~


夫「ふわぁ~あ。よく寝た。今日は久々の休みだから昼まで寝ちゃったよ。さぁ~てと、折角の休日だし、昼寝でもするか」
妻「どんだけ寝るのよ!?『寝穢い』わね!」


 「寝ている姿がだらしないさま」という意味もある言葉ですが、「意地汚い」と混同してしまうことも多いので注意したいところです。  僕もゴールデンウィークは仕事が休みだったので、いつもよりゆっくり寝られる日が多かったのですが、さすがにここまで「寝穢く」はなかったと思います。休みだからこそ、少し早く起きて一日を目一杯楽しむというのも良いですよね。まあ、それがなかなかできないんですが…。


・「春蛙秋蝉(しゅんあしゅうぜん)」

ただやかましいだけで無用な言論

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~テレビの朝のワイドショーにて~


 司会者「おはようございます。ハイパーモーニングワイドです。今日のトークテーマは『少子化問題』です。コメンテーターとして専門家の○○大学教授、田中雅彦氏にいらっしゃっていただいています」
田中教授「よろしくお願いします」
 視聴者「少子化問題か。気になるテーマだな」
 司会者「それでは田中教授にお聞きしたいのですが、少子化と言えば子供。子供と言えば、私が小さい頃、我が家ではよく朝食に目玉焼きが出たのですが、田中教授は目玉焼きには醤油をかけるべきだと思いますか?それともソースですか?」
 視聴者「は?何聞いてんだよ?」
田中教授「難しい質問ですね」
 視聴者「どこがだよ?」
田中教授「そもそもその二択しかないというのがおかしい。ケチャップやマヨネーズという選択肢もありうると思うし、塩胡椒のみという考え方もある。さらに言えば、これは家庭内のルールというよりも、個人の自由の問題ではないでしょうか?」
 司会者「しかし教授、それでは日本の食文化はどうなるのでしょうか?」
田中教授「私は食文化というものを画一的に捉えること自体が間違っていると思う。文化の多様性と子供の主体性を尊重してこそ、日本は真に豊かな社会になるのではないでしょうか?」
 司会者「いやいや、日本人は醤油でしょう。醤油なくして日本文化がありえますか?」
視聴者「うるせえな、この司会者!少子化の話どうなったんだよ!?田中教授も真剣に答えてんじゃねえよ!『春蛙秋蝉』じゃねえか!どうでもいいよ!」


 春の蛙と秋の蝉(旧暦では七・八月は秋です)はやかましい、というところからできた四字熟語で、自説を謙遜してこう言うこともあります。この言葉のように、四字熟語は漢字から意味を推測できることも多いので、初めて見た熟語の意味を予想してみるのも面白いかもしれません。
 それにしても、あんな質問をする司会者も司会者ですが、答える方もどうかと思いますね。他人の目玉焼きの食べ方なんて誰も興味ないですからね。ちなみに僕は、目玉焼きを食べる時はご飯の上に乗せて黄身を崩し、そこに醤油を垂らして掻き込むのが好きです。もしくはパンに挟んで…おっと、これは蛙でも蝉でもなく、完全に「蛇足」な情報ですが。


 さて、少しは皆さんのお勉強の手助けができたでしょうか?実は過去に、このコラムで紹介した言葉が1級の問題で出題されたこともありますので、検定直前にもう一度読み返してみた方がいいかもしれませんよ。ラストスパートで頑張りましょう!

レフト鈴木

1987年埼玉県生まれ。千葉大学卒業。お笑いトリオ「くりおね」ツッコミ担当(ワタナベエンターテインメント所属)。フジテレビ「日本語探Qバラエティクイズ それマジ!?ニッポン」、テレビ朝日「GURIGURIくりぃむ」「『ぷっ』すま」、TBS「有吉ジャポン」、チバテレ「Girl’s Pop’n Party」「おはYo! HIテンション」等に出演。日本語検定1級に過去3回認定。
アメーバブログ:http://ameblo.jp/hidekasuzuki/
ツイッター:@leftsuzuki
ユーチューブ:https://www.youtube.com/channel/UCLBQrhXN7UsOA2V50oTCqMg

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